レビュー
【メイ“キング”が見たい映画】 動物や草木の実写から作り上げたという“超実写”の映像美でメイキングが見たくなる。名曲とともに、目や耳や至る所が2時間喜びっぱなし。シンプルなストーリーなんて、ハクナ・マタタ! ◆概要 1994年製作同名アニメのフルCGリメイク作品。監督は「ジャングル・ブック」のジョン・ファブロー(スパイダーマンのハッピー役でもある)。声の出演は、グラミー賞受賞ラッパーのドナルド・グローバー、ビヨンセら。使用楽曲はエルトン・ジョンによる「愛を感じて」ほか、「サークル・オブ・ライフ」「ハクナ・マタタ」など名曲多数。アニメより30分長く、監督はその中でライオン社会やシンバの母に焦点を当てて掘り下げたと語っている(https://www.gizmodo.jp/2019/08/lion-king-jon-favreau-interview.html)。 ◆ストーリー 動物たちの王であるライオンのムファサの子として生まれたシンバ。王位を狙う叔父スカーの策略によって父の命を奪われ、たどりついたジャングルで、新たな仲間と出会う。一方、スカーが支配するサバンナは次第に荒れ果て、存続の危機が迫っていた。 ◆感想 まあ予想を上回る映像美。実物にしか見えない動物たちのリアルな動きもサバンナの大地の美しさも完全に眼福。加えて聞き覚えのある楽曲も多く、これライオンキングの曲だったんだなアハ体験。シンプルなストーリーで逆にそんな映画の構成要素に集中できる。 ◆映像美 動物はもちろん、木々や石や川に至るまで現実のものから作り上げたという本作。ただのCGではなくそんな意味で“超実写”とうたうそのクオリティが尋常じゃない。どこかCGっぽさを感じる映画は数あれど本作は皆無。毛並みや水などの細かいディテールも素晴らしいのだけど、なんと言っても動物達の動き方の自然さ。歩く時の骨や筋肉の動き方とか目や耳の動き方まで違和感なし。劇中何度も実写だと錯覚する自分をいさめる場面が笑。 ◆音楽 エルトンジョンの「can you feel the love tonight」に「circle of life」、聞き覚えのある楽曲が多く、テンションが上がる。他の曲もノリノリで、ティモンとプンバァが歌う「ハクナ・マタタ」は一緒に踊り出してしまうような楽しさ。周りに迷惑なほどリズムを取っていたかも知れない笑。シンバとナラが再会し歌う「can you feel the love tonight」は、前述の映像美も相まって鳥肌もの。滝を背景に二匹がシルエットになるシーンがとても美しく、「アラジン」で「a whole new world」BGMに二人が飛ぶあのシーンと重なる、この映画のピカイチシーンだったと思う。 ◆ 以下ネタバレ ◆ ◆お披露目式 前後するけど、冒頭の「circle of life」とともに紡がれるシンバのお披露目式に鳥肌。王の前に動物達がひれ伏していく「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」ラストにもあったような、荘厳さがあるシーンだった。全く同じ形で、シンバの子がお披露目されるラストも、まさに命の輪の中での命の継承。 ◆メッセージ シンバが父ムファサから食物連鎖について説かれるシーン。そして、俺たちは輪じゃなく線だと始めは語っていたティモン・ムンバァコンビが、シンバの成長に伴って“少しカーブ”なんて表現に変わっていく様子。全体を通して“命の輪”の絶対性をうたうこの映画のメッセージは、シンプルだからこそ伝わりやすい。 一つ感じたのは、ムファサがシンバに“王ならば奪うのではなく与えろ”的な話をしたシーン。動物の世界で王に君臨するのはまさしくライオンながら、実世界での王はいわば人間。一度は“命の輪”から外れて“線”として生きかけたシンバが、故郷へ戻り“輪の歪み”を正していく様は、なんだか地球で生きる人間へのこの映画が内包する裏テーマのようにも感じた。 ◆ネコパンチ そんな事を書いておきながら、シンバとスカーのバトルシーンの迫力に個人的に邪魔でしょうがなかったそれぞれのネコパンチのかわいさ笑。もはやあれはその可愛さ萌え、可愛さを愛でるシーンだという解釈です笑。 ◆コミカル ダジャレだらけのザズー、完全にお笑い枠のティモン・ムンバァ笑。コミカルなキャラが終始映画をクス笑いで見やすくしてくれていた。 さすがのディズニー、本作も満足度の高い素晴らしい映画でした!
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