レビュー
akubi

akubi

2 years ago

5.0


1979年、冬

映画 ・ 2021

平均 5.0

スクラップブックに綴じられた、青春の日々のひとこまひとこまを眺めていた。思春期の男子の焦燥と、まだ幼い発作的な嫉妬心。繕われてゆくふたりの心。縫いこまれた赤い糸のハート。 きみは、そのまだ小さなからだで、どれだけのものを背負ってしまったのだろう。けれど、きみのおかげで(せいで) 兄は英雄になったんだ。だからもう、前をむいて、歩くんだ。だいじょうぶ、だいじょうぶ。そんなふうに願う想いをもとじこめたような、1978年の、あの場所の、気怠さをまとった寂寞とした冬の陰鬱さが、蠱惑的なかがやきを放っていた。美しくて苦しくて、すべてのショットが雄弁に物語を紡いでゆく。役者さんもすばらしく、とてもいい映画だった。