レビュー
この映画、イエメンの砂漠で鮭の放流を試みるという珍奇な設定や、初めは全く違う考えの持ち主であったはずの人間と一つの趣味を通して理解を深めていく過程を描くなど、序盤はなかなかに面白いのです。この手のドラマはラッセ・ハルストレムのお家芸ですから、最早お手のものと言って差し支えないでしょう。 しかし後半は、砂漠地でどうやったら鮭が遡上するようになるのか、そして主人公たちがそれをどのようにして成し遂げたのかという興味深いドラマを完全にテキトーな映像のザッピングで処理し、主人公二人のラブストーリーを軸に据える暴挙に出ます。 これがまるで共感できない身勝手な中年カップルのおままごとで、どうしてこんな方向性の間違った映画にしたのか分かりかねます。主人公二人には心の広い妻や恋人がいるのですが、二人の恋愛はこの寛大なパートナーの忍耐や慈悲深さの上に成り立っているだけで、周りの人間から祝福されることはないでしょう。 『親愛なる君へ』を更にエスカレートさせたかのようなトンデモ恋愛劇の連発に、若干ラッセ・ハルストレムの恋愛観が心配になる1本です。
コメント 0
ネタバレ報告
不適切な表現報告


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.