
星ゆたか

禁じられた遊び
平均 3.4
2022.1 ギターの名曲(ロマンス)ナルシソ・イエペスの旋律を、聴くたびに想い出される。 私にとって、映画鑑賞の出発点の作品である。 ちょうどTVで、家族の皆で見た。自分の年頃が、物語の主人公の男の子と、同じぐらいだった。 それで田舎の少年が、都会の少女に、惚れちゃた所から始まる(禁じられた遊び)の世界に、ごく自然に感情移入できたのだろう。 少女が爆撃機の攻撃で死んだ子犬を、少年に埋葬することを教えられる。1940年のフランスの片田舎でのこと。 小さなお墓づくりの遊びがおもしろくなって、死ななきゃ墓は作れない、じゃあ虫でも殺すか、十字架も盗んでこようかと、どんどんエスカレートしていく。 この女の子は5歳で子犬どころでなく、両親も殺されているのに、その事の衝撃に気づいてない。 童話は、しばしば大人の世界を、揶喩したり、批判するための、寓話であることで、子どもも大人も理解し楽しめる。これはそうした映画である。 ドキュメンタリー手法で、「鉄路の闘い」(1946)「海の牙」(1947)「鉄格子の彼方」(1948)などで評判を取った、ルネ・クレマン監督が、大衆性ある物語を、詩情豊かに童話の形で、〔戦争批判〕を描いたのである。 子供たちが自分らの遊びのために、主義のために、相手はどうなってもいい。大人の世界では、これで戦争になる。少年の両親は、隣家と仲違いしている。これも小さな戦争である。 ラストシーンは、尼僧に連れられての駅。 近くの婦人が、自分の子を呼ぶ。 『ミッシェル』 ポーレットは、(あっ、あの少年の名だ‥‥‥) 『ミッシェル‥‥‥‥‥』 口ずさむうちに気づく。そしていつのまにか、その声は、『ママ‥ママ‥‥』に。 子供から大人、童話から現実の認識に戻された瞬間である。