レビュー
星ゆたか

星ゆたか

3 years ago

4.0


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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

映画 ・ 2019

平均 3.6

2023.4.21 【対談レビュー*No.4】 実話を基にした環境汚染問題をめぐる社会派映画の力作です。 複数人の話の リズムがいいという評判から(?✨) 風かおるさん、雨みつをさんを招き、 星ゆたか進行でお送りします。 どうぞ宜しく😃✌️お願いします。 (星)2016年1月6日のニューヨークタイムズに掲載された記事。 「The Lawyer Who Be Came Dupont’s Worst Nightmare」 ロブ・ビロット弁護士の訴訟裁判を扱った内容に心射たれ。 ナサニエル・リッチさんによる原作に、更に衝撃を受けたマーク・ラファロ(67年生まれ)さんが、監督トッド・ヘインズ氏(61年生まれ)に企画を持ち込み。 自らプロデュース、主演を果たした作品ですね。 マークさんは俳優で 「フォックス・キャッチャー」(14) 「スポットライト」(15)。 トッド監督は「エデンより彼方に」(02)「キャロル」(15)なんて作品が印象的でした。 (風)オハイオ州シンシナティの法律事務所に勤める弁護士ロブ・ビロット氏の所に1998年のある日。 祖母の住むウェスト・バージニア州の農場夫のウィルバー・テナント氏が訪れるんです。 『埋め立て地という訳なのに、化学企業のゴミ廃棄場だ!地元の役所や弁護士に何度話しても相手にしてくれない。川を汚し牛を殺したんだ。持参した証拠映像のビデオテープを見て、デュポン会社を訴えてほしい。』と。会議中という所を抜け出してきたということもあって。 『私は企業を守る側の弁護士だから、それは無理です。』と丁重にお断りするんですが。 その後何となく気になって祖母を訪ねながら、聞く所によると古い知り合いで見せられた昔のアルバムから、ロブも訪ねたことがあったのだ。それでついでにウィルバーの農場にも寄ってみることに。 (雨)その時ロブの車の中から流れるのがあの「故郷にかえりたい」(♪Take Me Home Country Roads♪:ジョン・デンバー歌唱:71年.年間売り上げ8位)のメロディ。この曲、大好き🍀😌🍀。 日本では「耳をすませば」(95)宮崎駿監督作品の♪カントリーロード♪って言った方が、特に若い人には分かりやすいかな。 ♪天国に近いウェストバージニア カントリーロード 故郷に連れてって 僕のいるべき場所へ 母なる山よ♪🎵という歌詞の歌ですね。 (星)そのウィルバー氏の農場で長い間の水質汚染で頭の狂った牛が、人に突撃してくる危険な状況に。またそれまで死んで埋めた牛の多さ(200頭近く)や、話の様子で地元の役所や弁護士事務所が取り扱わない訳なども察して。 初めて本気になって見てなかったビデオの映像を確認、所長にも見せて実態調査に取り組む決意を示す訳です。 この所長を演じたのが。あの「ショーシャンクの空に」(94)や「ミスティック・リバー」(03)でオスカー受賞のティム・ロビンズさん(58年生まれ)です。 画面に初めて登場する所では、白髪で『“年とった”なぁ、でもこの人が演じる意味は?』(“自分”のこと棚に上げて?)という印象で。 彼と主人公のロブの妻役のアン・ハサウェイさん(82年生まれ)も劇半ば位までは同様に地味で。 セリフも少ないし別に彼女でなくても良かったんじゃないかと思うんですね。 ところが後半、大企業の様々な圧力に孤軍奮闘する主人公の良き理解者で応援する重要な役回りになって。 あぁやっぱりこの二人の演技、スターの存在感だからこそ、映画が持つ社会への拡散力が増すんだと納得する訳です。 (風)調理する時フライパンの底が焦げつかない。また衣服などの撥水効果のある〈テフロン加工〉で業界トップに上り詰めた《デュポン社》。 その顧問弁護士のフィル・ドネリー氏も当初は、開示できる範囲の資料提出には紳士的で穏やかで協力的でしたが。 極秘資料となると話は別。 99年のオハイオ化学同盟の晩餐会で、当時のパソコンでも意味の解らなかった〈PFOA〉について、しつこく聞こうとすると。 激昂し『このクソ野郎!田舎ものめが❗』と怒鳴り散らす始末。 開示されてなかった資料には企業の運営に致命的証拠になる実験結果の報告や。  後に問題の焦点となる《PFOA》そのテフロン加工のフッソがもたらす化学物質の生命体に及ぶ悪影響などが記録され。 胎児の成長の変形、甲状腺疾患、発ガン性などが判明された様子。その影響も社員や動物で実験済みで、どうも承知しているのではないかと推測された。 つまり売り上げに影響あるとなると。 科学者や政府機関も取り囲み、隠蔽してきた節の経歴にたどり着くんです。 (雨)そこで同じ1999年に裁判所命令で。開示されてなかった資料提出を。 もの凄い、それこそ50年近く前からの資料。大量のダンボール箱を送りつけ、相手の探求の気概を損ねる目的の所は。 以前見た「モーリタニアン黒塗りの記憶」(21)の映画で収容所内虐待の大量の記録を、弁護士に送ってきた構図と同じ。 記録は忠実に残すが、都合の悪い時には隠蔽する仕組みがこの社会では成立しているんですね。 しかしロブは家庭を省みる余裕も惜しんで、証拠資料の発見作業に没頭したために。妻子(息子三人)とも疎遠に。 自らも体調変化「TIA」(一過性脳虚血発作)を患う。 長い間のストレス、自立神経疾患等の影響で倒れ入院するまでになる。 足や手が震え立っていられなくなったからです。 (星)この時真剣になって彼を理解して応援するのが元弁護士でもあった妻であり、弁護士事務所の所長さんなんですね。それぞれ葛藤もあったでしょうが。 妻は『あの人は子供の頃転校ばかりしていて、友達も自分の居場所もなかった。だから法律事務所はただの職場じゃない。家族なんだ。』と言う。 またその所長も、会議で若い黒人の弁護士が追及を止めた方がいいとの声に。 『それだから弁護士は嫌われるんだ。資料を読んでから意見しろ。これは事務所の利益ではなく、アメリカの産業界をより良くするためにやるんだ。』といい放つんです。素晴らしい❗ この20数年近くの訴訟裁判に主人公を支えた、この弁護士事務所も立派です。 (風)テフロン社だけで年間10億ドルの利益。最初は1650万ドルの罰金。訴訟をお越した該当者には総額7000万ドル支払うなどの取り決めに一度は承認。その位のお金は数日で稼げるとまで言われましたが。 また企業規模としては。そのあと2017年9月に世界最大の化学メーカー〈ダウ・デュポン社〉売上約860億ドル(日本円にして9兆5000億円)に。 ちなみに日本最大の三菱ケミカルが約3兆5000億円だとか。 しかし問題は環境保護庁の役人と科学者そしてデュポン社の三つどもえの足並みを揃えた動きです!。 だからその多くの対象者の血液検査といって結果公表に7年もかかり。 そしてそこでせっかく6つの関連疾患が判明したのに。(2013年) あげくの果てに、その結果をデュポン社は、同意を反古(ほご)すると言ってきた。だからロブ一家もせっかく念願の結果に喜んだものの、再び失意を味わうんです。 そもそも問題は20年以上前にデュポン社が、6350トンの廃棄汚染物を一度埋めたのを掘り起こし、あの訴えたテナント氏の土地に埋め直した所から発する。その時の穴堀作業に関わった、テナント氏の弟さんは癌で亡くなり。 またテナント氏も癌で2012年に亡くなってます。 ただデュポン社は、その後全訴訟の和解に応じて6億7000万ドルの支払いに同意したそうですけどね。 (雨)この映画を他人ごとと。娯楽作品としてだけで、見過ごせないのは。 日本でも2021年10月に〈PFOA〉はようやく製造中止の法令が出たばかりで。 またこの2023年3月29日に。大阪府摂津市議会で。 ダイキン工業淀川製作所周辺での〈PFOA汚染〉に関して国に対応を求める意見書が可決されたというニュースがあります。高濃度のPFOAが検出されたにも関わらず、何故住民が体内に蓄積されるまで製造が続けられたのか。 それに対し環境省・吉田代表は『我々はダイキンに対策を求める立場にない。これは公害ではない』とする声明。 また摂津市長の森山一正氏は『国がやる』と主張。そんな似たような話が日本にもあるんですね。 WBCの野球で国中が歓喜に沸いている同じ国の中で、しかもその同じ時期に、別の所のこのような報道にも耳を傾ける姿勢を忘れてはならないと思いました。 (星)映画の中で。『政府や法律に任せきっては駄目。個人がノーと言う気持ちを忘れないで。』との主張があり。 舞台となったウェストバージニア州は前トランプ大統領の支持率が高い保守的な土地柄で。映画の中でも告発を行ったテナント一家に、町民が冷ややかな視線を送ってました。大企業が街の住民の雇用などもまかなっていたからなんだと思いますが。 ともかく現在も一部の訴訟は続いているとのことで。 我々の未来の子供たちのためにも、 便利・快適であるための文明の進歩の影に、考えなければならない問題があることを意識続けたいですね。 それではこの辺で失礼します。 ありがとう😉👍🎶ございました。