レビュー
2020年15本目は、予告編の時点で世界中に良くも悪くも大旋風を巻き起こしたトンデモ映画『CATS』。 ------------------------------------------------------------ 映画館で予告を見るたびに「何じゃコリャ」と拒絶反応を示す自分と、「これはもしかすると凄まじい体験ができるのでは」と心踊る自分とが戦い続けていたのですが、公開初日に勇気を出して見に行ってきました。結果は想像以上で、これだけのキャストと大金をつぎ込み盛大にスベった作品は、194億円の赤字をぶちかました『モータルエンジン』以来ではないかと思います。 ------------------------------------------------------------ 何が凄いってやっぱりキャラクターの見た目でして、猫にも人間にも成りきれない奇っ怪な化け物が2時間歌って踊ってる姿を見てると、むず痒くてたまりません。しかも本作、その半端な技術を使って人間の大敵であるゴキブリを擬人化する暴挙に出ており、映画全体から放たれる生理的嫌悪感が尋常ではないです。虫が嫌いな方は正直見ないことをお勧めします。 ------------------------------------------------------------ また、楽曲面では確かに魅力的かもしれませんが、元のミュージカルに新曲を足して再演しているに過ぎず、わざわざ映画として上映する意義がまるで感じられませんでした。そもそも『CATS』は最初から最後までずっと歌いっぱなしの踊りっぱなしで、新世界やそこに住むキャラクターたちとの出会いがメインになっています。よって主人公も一応いるにはいるが、物語をリードしていく導き手には見えず、ただ振り回されるだけ。 ------------------------------------------------------------ 話の展開も映画として俯瞰すると都合の良い後付けや奇跡の連続で、出来事のぶつ切りを見せられている感が非常に強いです。つまり、本作には驚くことに映画に大切な「ストーリー」と「主人公」が存在しないわけです。ですから110分しかないにも関わらず、体感時間がやたらと長い。ミュージカルそのものは名作かもしれませんけど、映画化には甚だ不向きな話です。
いいね 18コメント 3


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.