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ペルシャン・レッスン 戦場の教室
平均 3.8
原題は「Persian Lessons」。 そのまま「ペルシャ語のレッスン」の意味。 ずっと観たかった作品でWOWOW初放送にて鑑賞。 様々なナチス政権下の映画を観てきたけど、「言語」について深く考えさせられた作品でした。 第2次世界大戦中、ナチス親衛隊に捕まったユダヤ人の青年ジル。 処刑される寸前に「自分はペルシャ人だ。ユダヤ人じゃない!」と嘘をつき一命を取り留める。 一方、将来はテヘランで料理店を開く夢を持つナチス将校のコッホ大尉。 ジルにペルシャ語を教えるようにと命令。 ジルは偽のペルシャ語を教えるようになるが生き延びることが出来るのか…。 そんな実話を基に作られたストーリーです。 ドイツ軍の車に乗せられて森を抜け川辺にたどり着いたユダヤ人たち。 ジルは直前に車の幌の中で食料と交換にペルシャ語を本をもらっていた。 その「ペルシャ神話」には持ち主の名前が書いてあり、ジルは「レザ」と言う名前を名乗りペルシャ人だと主張したのです。 川辺でジル以外のユダヤ人が次々と処刑されるシーン…いつ見てもたまらない。 コッホ大尉は細かい事にうるさく、囚人名簿を書いていたエリザの悪筆にキレる。 「r」と「v」の区別がつかない!と立腹し、ジルに名簿係をやらせる。 日中の作業後にペルシャ語を教えるジル。 コッホ大尉の覚えるペースが速く、ジルは様々な偽のペルシャ語の単語を考えるが記憶もしなくてはいけない。 単語帳を作り次々覚えるコッホ大尉。 ジルは粗末な寝床で必死に教えた言葉を暗記する。 この辺はとてもスリリングに進むシーンが多く、息もつけなかった。 「木」も「ラージ」。 「パン」も「ラージ」と、教わったコッホが突然キレる。 でたらめを言うな!と殴る蹴るの暴行。 コッホの「嘘を嫌い、人前で恥をかかせるな」と言う激しい性格が見えた。 結局その後にジルが正しいと信用するコッホだったが、この辺りのジルの精神的疲弊は辛そうだった。 ジルはユダヤ人だと信じている伍長のマックス。 本物のペルシャ人が来て喜ぶが、ジルが助けたイタリア人兄弟によって窮地を救われる。 しかしその頃のジルは自分だけコッホに保護されている立場に疑問を持ち、さらに囚人が次々と移送される(処刑される)現実に揺らいでいきます。 移送の列に加わるジルの姿、必死でジルを救い出すコッホ…。 この辺りでジルとコッホの奇妙な関係と見る方もいると思うが、私にはあくまでもジルの存在はコッホにとって役に立つ、それしかないと思った。 (つまり2人の間には友情はないと思う) 収容所を撤収する時、囚人名簿を燃やすナチス側。 そこには美しく読みやすい字で名簿を作ったジルの筆跡があった。 コッホは計画通りに隠し持っていたお金や衣服を来てジルを引き連れ収容所を出る。 ジルと別れたコッホはテヘランに向かうために空港へ。 しかしコッホが話すペルシャ語はまったく通じず拘束される。 一方のジルは連合軍の施設で事情を聞かれ、「2万5千から3万の囚人が移送された。」と話すジル。 さらに涙を流しながら覚えている囚人の名前を暗誦する。 その数、2840名。 ジルによって今まで番号で区別されていた囚人達が一人一人名前を取り戻した瞬間だった。 どこまでが実話かはわからない。 しかし当時、ナチス政権下で命を奪われた多くのユダヤ人…(その他の民族や障碍を持つ人など)が命を軽んじられた事実は決して忘れてはならないと思った。 あの時代だから普通の人間が殺す側、殺される側に分かれていった事実。 それはジルがコッホにペルシャ語を教えた事でも何ら関係ない。 生き延びるために嘘を言ったジルの心の動きも丁寧に描かれていた。 目の前で多くの囚人が移送され処刑されていく中、ナチスの軍隊は痴話喧嘩をしたり、夕食の献立が気になるなど、戦争のむごさを充分に感じる作品でした。