レビュー
衝撃のラスト。「登場人物、全員最低。」そううたっておきながら、見終わってみると、描かれていたのはこれ以上ない絶対愛。ハードルを下げておいて高々と越えてきた映画。 “共感度0%”、20万部を超える沼田まほかるのベストセラー小説の映画化。監督は『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』など実録路線のクライムムービーの実績を持つ白石和彌。第42回トロント国際映画祭など、数々の映画祭に出品されている。 まず原作勝ちしていると思う。入り口は十和子という最低女と最低な男達で、共感できないながらも見続けてしまうキャッチーな展開。それにサスペンス要素を突然加えて怒涛の流れからのラストでの大転換。 それに加えて、とにかく阿部サダヲと蒼井優の実力派の演技が光る。二人の関西弁でのやり取りが全く違和感がない。こと、早口で人を罵る蒼井優に、落ちた物を食べたり、食事のシーンで足をかく阿部サダヲ、二人の実力派っぷりや、数フレでもアドリブでキャラを立てる演技を入れてくるあたりが、見ているこちらを唸らせる。 演出も、 ◆◆少しネタバレあり◆◆ 至る所にこだわりが見える。あかの他人が部屋に来ても、下着を部屋干ししている十和子。ラストに二人の回想シーンを置いて、陣治の十和子への強い想いを強調していたり、逆に十和子の目線からは、陣治が一瞬であっけなく消えていく、“対照的な想い”を表現していたと思う。 原作の強さに、キャストの魅力が乗り、製作陣のこだわりが光る、三位一体の骨太映画ではないでしょうか。
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