レビュー
クロード・ルルーシュ監督の「男と女」は、美しい恋愛映画だ。 登場人物や舞台の設定が、あまりにも劇的で、通俗的なメロドラマだという批判も一部にはありましたが、それをものともしないほど、完璧に美しい。 キャスティングも最高だった。寡黙で、男性的な魅力にあふれるジャン=ルイ・トランティニャン。 愁いをたたえた、ゴージャスなアヌーク・エーメ。 この二人が、悲しい過去を持つ男女に扮し、海辺の高級保養地で出会う。 おまけに、バックに流れるのは、フランシス・レイ作曲の「ダバダ ダバダバダ ダバダバダ」というあの有名なテーマ音楽だ。 これはもう恋が始まるしかない。 アンヌ(アヌーク・エーメ)は、パリで暮らす映画のスクリプター。 スタントマンの夫(ピエール・バルー)と愛し合っていたが、夫は撮影中の事故で死ぬ。 終末に、幼い娘を預けているドービルにある寄宿学校を訪ねた彼女は、同じくパリから息子に会いに来たジャンルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)と知り合う。 彼は、カーレーサーで、妻は自殺していた-------。 現在進行形のドラマに、二人の回想シーンが織り込まれ、場面ごとにモノクロ、カラー、セピア色に変わる。 特に、ムートンのコートをまとったアンヌが、パリのシャンゼリゼを歩くシーンや、浜辺で二組の親子が遊ぶシーンなど、色がない場面の美しさが印象に残る。 そして、この映画のハイライトは、モンテカルロ・ラリーで優勝したジャンルイが、アンヌに会いに行くところだ。 アンヌは、モンテカルロ・ラリーで優勝したジャンルイに電報を打つ。 「ブラボー。愛してます」。電報を受け取った男は、すぐに車で彼女の元に向かう。 途中で、公衆電話から電話しようかと迷うが、やめる。驚かせたかったからだ。 遠く離れた恋人に、電報や手紙で気持ちを伝える。 携帯電話が普及した現在では、こんな愛の告白は、まだるっこいかもしれない。 でも、すぐに会えない切なさが、相手への思いを募らせる。 パリへ、そして寄宿学校のあるドービルへ、物狂おしい思いに駆られ、夜を徹して車を走らせるジャンルイ-------。
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