レビュー
uboshito

uboshito

2 years ago

4.5


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悪の心を読む者たち

テレビ ・ 2022

平均 3.8

プロファイリングという概念さえ薄い2000年初頭の韓国での警察のお話。だから韓国での初代プロファイラーの主人公は、決してスイスイと「こいつが犯人!」とか「この犯人の行動はこういう意味だ!」などと事件解決したりはしない。というか、できない。ハリウッド作品の超能力者並みの万能プロファイラーに見慣れてしまうと、これがもどかしくって仕方がない。しかし…このもどかしさこそが本作の大きな魅力であり、テーマにもなっている。 第1話はまだ犯罪分析という概念の欠片もないような末端の部署での事件捜査から始まるが、これがまた薄暗く、鬱屈としたテイストで…ところが数話して犯罪行動分析チームができてからはもう一気見。周囲の無理解にもめげず、ひたすら「忍」の字で、ひとつひとつ積み上げていく様には胸が熱くなる。一見してドライに見える主人公だが、犯罪には人一倍心を痛めており、それがまた魅力を倍増させている。犯罪者が吐き出す独白(作中では汚物と表現される)に当てられた主人公が辞職をも決意するも、遺族の言葉に涙するシーンは、もらい泣き以上に泣けた。 そしてこの犯人の独白のシーンの迫力が尋常ではなく、呆気に取られて画面を食い入るように見つめてしまう。この犯人役の俳優さん、やばくない? まさに視聴者も一緒になって深淵を覗き込んでいるような、めまいのする世界…このドラマ、やばくない? その独白に向き合った後の抜け殻になったような主人公の痛切さを思うと足元が揺らぐよう。本当に、凄まじい内容だ。 最近の韓国ドラマや映画は本作のように90年代から2000年前後を舞台にした作品がとても増加している。しかしそれは決して「三丁目の夕日」ではない。過去を懐古しているのではなく、社会が成熟しているからこそできる「振り返り」であり、前に進んでいく意思の表れでもあると思う。