
星ゆたか

夜、鳥たちが啼く
平均 2.8
2024.5.3 原作者佐藤泰志さんの私小説的作品は、北海道が舞台にした話が多かった印象だが。 これは人気俳優を配し、埼玉県飯能市でロケした映画だ。 監督は城定秀夫さんで。 脚本はその佐藤泰志さん原作で、傑作の誉れ高い。 あの「そこのみにて光輝く」(14)の高田亮さん。 構成としては、現在の小説家の主人公の生きざまと。 少し前の彼を取り巻く人間の過去の様子が、編集で交互に描かれていく。 無精髭の山田祐貴さんが。 平屋のアパートと、隣り合わせの物置小屋を大家の許可を得て作家執筆場所にしている所に。 訳ありで友人関係なのか、離婚したばかりの。 同年齢位の母親(松本まりかさん)とその小学校低学年の息子が。 近くのアパートが見つかるまでのとの口約束で、引っ越して来る所から始まる。 『いつまでも、そんなにあわてなくていいから』と。 自分は寝泊まりは、物置小屋の方で。 風呂とトイレだけは使うと。 食事も別だから気にしないでと気配りしての配慮だ。 そんな彼の少し前は。 同棲中の彼女(中村ゆりかさん)の動向、勤め先のスーパーの店長との関係を。 猜疑心いっぱいに接し、何かというと。 自分の作家執筆がうまく進まないイラダチを。 酒の酔いにまかせて、日頃から、さんざんブッツケルあんばいで。 特にその中でも、夜通しの酒が抜け切らない勢いで。 その勤務先に立ち寄り、店長をコテンパンにし。店の店員にやっつけられて、謝る場面。 自分も血だらけになり、絶望の声を上げる描写には、うんざりして視聴を止めようかとも思った。 しかも気になるのは。 この主人公の環境、いつも部屋の照明を着けずに、暗い中で執筆し(部分照明はあるが)。 あるいは、同居し始めた彼女も比較的照明を着けずに夜過ごしていて。 これは彼らにとって落ち着く配慮なのか、分からないが。 だから“暗い“日常になるんじゃなかろうかとすら思えてくる。 明るい毎日を送るには、“暗い”中で文句を言っても始まらないのでは??。 だからその後の、現在の彼と同居させる彼女とその息子の状況も。 いつ破綻するのかと思いながら…。 彼は『結婚もしてないのに、家庭内別居』が、どこまでも心情で。 その後その息子とのふれ合いで。 母子の精神的繋がりから、肉体的結びまで進んでも。 『このままの関係でいいんじゃない』と曖昧にし。 これは結局、男として、妻や子供を最後まで責任とる覚悟を放棄しているから、出てくる逃げ言葉じゃないかと思う。 一方その彼女が失敗を繰り返したくないけど。 でも一緒に暮らしていくなら、結婚という形にした方がいい。 と考えても、彼の方はやんわり、その意識を変えようとしない。 そもそも映画自体、彼女の離婚が、その夫の、彼の先輩の浮気らしいのだが。 その辺が曖昧で、よくわからない。 別にこの夫婦関係に問題があっての離婚という感じもしないし。 それに比べると、あんなに、主人公と前彼女の関係が、『何で、そんなに嫌な間柄で、一緒にいるの?』と思わせる描写があるのに。 こちらは、その辺が少しもないのが作品的に、大きな弱点になってはいないか?。 それに、その息子が元の父親をそれほど、嫌ってもいない風なのに。 この新しい、母親の友人でもある父親になるらしい男に。 こんなにもすぐ、“なつく”のもどうも納得いかない。 その辺の曖昧さの先に。 城定監督お得意の官能性描写があっても。 どうなんかなぁ、幸せが続けばいいけどねの、第三者の感想しかない。 主人公の小説家としての納得と成果が、自身認められれば全て上手くいくのかも知れないが。 結局、この原作者は自殺しちゃうしね。 その精神的病を克服しない限り。 この作品の主人公も、酒の依存に陥り。 破滅的な人生に進みはしないだろうか、心配の作品評になってしまった。