
てっぺい

恋愛裁判
平均 3.2
【裁かない映画】 元日向坂・齊藤京子が、役と奇跡的に噛み合った作品。アイドルが裁かれていく歪んだリアリティの中で、唯一裁かれなかったもの。それが、この映画の答え。 ◆トリビア ◉フィクションが重なる現実 何度も落ち、最後のオーディションで初めて合格した真衣の設定が自身の人生と完全に一致したと明かす齊藤京子。裁判でその事を話すシーンは、極度に緊張したという。 ▷「まるで自分自身が恋愛をしてグループをやめて、今この裁判に来ているような錯覚に襲われて、他の場面以上の緊張を味わいました」 (https://renai-saiban.toho.co.jp/#interview-area) ◉齊藤自身が答え 齊藤の起用が決定した後、裁判シーンの長い説明セリフをカットしたという深田監督。セリフではなく、元アイドルである彼女自身とその演技(特に感情を抑えた裁判シーン)で「アイドルとは何か」を表現することを目指したと明かす。 ▷「齊藤さんがそこにいれば、セリフでアイドルとは何かを説明しなくても十分伝わるだろうと思ったので。」 (https://x.com/ren_ai_sai_ban/status/2013884267596783934) ◉物語の軸を変えた 脚本当初はセンターではなかったという真衣。齊藤自身が感じたその違和感から監督に提案、センターに変更されたという。 ▷「深田監督とは、真衣という役に関してはもちろん、物語のことやアイドルとしてのディテールなど、入念にお話ししました」 (https://renai-saiban.toho.co.jp/#interview-area) ◉血肉を与えた主演 現場では「ハピ☆ファン」のメンバーとも積極的に意見交換をし、アイドルのリアリティを追求した齊藤を監督は絶賛する。 ▷監督「齊藤さんとの出会いがなければこの映画は完成しなかった。絵空事でしかなかった脚本に全身全霊で血肉を与えてくれた齊藤さんに心から敬服しています」 (https://renai-saiban.toho.co.jp/) ◉演じては確認、また演じる 撮影前から長時間の本読みやリハーサルを行い、何度も繰り返しシーンの練習を重ねたという齊藤。ライブ場面のレッスンや振り入れも入念に行い、監督とも細かい意見交換を続けたという。 ▷「一度お芝居をしては確認し合う。そうした過程を何度も繰り返して、一緒に役を作っていきました」 (https://renai-saiban.toho.co.jp/#interview-area) ◉芝居を消す努力 よりリアルに、ナチュラルに、芝居をしている感をなくすよう意識したと語る齊藤。観客のことは考えず、その場での会話を成立させることに意識を集中したと明かす。 ▷「そうすることで気持ちが画面の向こう側にいる多くの方にリアリティを持って伝わると信じていました。」 (https://www.asahi.com/and/entertainment/16303935) ◉現実の裁判が出発点 本作は2015年、深田監督が「女性アイドルがファンと恋愛したことで事務所から損害賠償請求された事件」に関する記事から着想を得たもの。約10年かけて脚本を練り上げ、オリジナルの物語として完成させた。 (https://natalie.mu/eiga/news/640897) ◉映画は入口 劇中で「ハピ☆ファン」が歌う楽曲の一部は配信中。コミカライズにノベライズもされ、多角的にメディアミックスされている。 (https://ja.wikipedia.org/wiki/恋愛裁判_(映画)) ◆概要 2025年・第78回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門に正式出品作品。 【企画・脚本・監督】 深田晃司(「淵に立つ」「LOVE LIFE」) 【出演】 齊藤京子(「日向坂46」元メンバー)、倉悠貴、仲村悠菜、小川未祐、今村美月、桜ひなの、唐田えりか、津田健次郎 【主題歌】yama「Dawn」 【公開】2026年1月23日 【上映時間】124分 ◆ストーリー 人気上昇中のアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」でセンターを務める人気メンバーの山岡真衣は、中学時代の同級生・間山敬と偶然再会し、意気投合して恋に落ちる。アイドルとしての立場と恋愛との間で葛藤していた真衣だったが、ある事件をきっかけに衝動的に敬のもとへ駆け寄る。それから8カ月後、真衣は所属事務所から「恋愛禁止条項」の契約違反として裁判所に召喚されることになる。裁判では、事務所社長の吉田光一やチーフマネージャーの矢吹早耶らが真衣を追及するが……。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ 前半はアイドル、後半は裁判。本作は、空気が一変する。齊藤京子のファンクラブから観客を募集したというライブパートは当然リアルで、事件の描写や、真衣が恋に落ちる様子もどこか“あり得る”と腑に落ちる。恋愛裁判を描く本作で、その一番肝であるリアリティが丁寧に描かれ、裁判パートにはどこか絵空事でない不思議な没入感があった。 齊藤京子がいなければ本作が完成しなかったという監督の言葉の通り、トップアイドルからの早々の卒業が話題になった彼女の存在が本作にドンピシャ。敬との夢の旅路の先に、裁判所で見た目も口調も全く変わった彼女の演じ分けは大したもので、そのまま彼女自身の過去と完全一致したという真衣の経歴を語るシーンがとても印象的だった。彼女自身も本作で、感情を抑えたまま画面を支配する女優としての才能が開花したと思えるし、今後の彼女の芝居の幅をもっと見てみたいと思った。 敬が和解に応じても、弁護士にサジを投げられても、最後まで信念を曲げなかった真衣。ラストでは、“だるま朝日”を菜々香と梨紗と3人で見たいと語る。その3人に共通する事は、いずれもアイドルでありながら恋愛を経験した事。本作が描きたかった事は、アイドルであってもそんな“人間らしさ”を殺す必要があるのかという問題提起だと思う。法廷に立つ真衣を囲むように白枠が付けられた本作のメインビジュアルは、まさにこの裁判において真衣は“シロ”だと言わんばかり。白黒を明確にした作品ではなかったが、“人間らしさ”を求めた真衣の姿こそが、この裁判で唯一、裁かれなかったものだったのかもしれない。 ◆評価(2026年1月23日現在) Filmarks:★×3.7 Yahoo!検索:★×4.0 映画.com:★×3.6 引用元 https://eiga.com/movie/103829/ https://ja.wikipedia.org/wiki/恋愛裁判_(映画)