レビュー
星ゆたか

星ゆたか

7 months ago

3.0


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バイス

映画 ・ 2018

平均 3.3

2025.8.2 ジョージ·W·ブッシュ大統領(2001−2009在位)政権下の副大統領ディック·チェイニー(1941生)の伝記映画💫。 『アメリカ史上最·強·凶の副大統領』とも呼ばれ。 2001年9·11後のアメリカをイラク戦争へ(ブッシュの背後から押し)導いた人物とされる。 私がかつてレビュー(2023.4.9)した「記者たち·衝撃と畏怖の真実」(ロブ·ライナー監督)を読み返したが。 あれはブッシュ政権のイラク侵攻とそこに切り込む新聞社の追求に。 この陰の存在ディック·チェイニー氏はあまり登場してなかったようで。 アメリカ国内でもこの人の動向については、一般的にはあまり知られてなく。 例えばこの映画の監督アダム·マッケイ氏(68年生)も。 制作するきっかけはインフルエンザで療養中で家で偶然手にしたチェイニーの関連書であった(2010年以降)というくらいで。 『目標を達成させる為の政治的手腕の数々に驚きを隠せなかった』と語っている。 原題「Vice 」には“悪徳”の意味。これに「Predident」が付くと“副·大統領·社長”になるという。 1960年代半ば酒癖が悪くイエール大学を退学させられ。 田舎の電気工だった彼を。 恋人だったリン(後に夫人)に叱咤激励され。 一年奮起しワイオミング大学へ入り直し、政界への道への学びを修得。 1968年、型破りな下院議員ドナルド·ラムズフェルドの下(以降30年以上の師弟関係)で政界の裏表を学ぶ。 やがて権力の虜になり、ニクソン政権下では大統領次席法律顧問。 フォード政権下では大統領主席補佐官となる。 ただ持病の心臓病で再三倒れ。 一時(1978−1989)はイラク戦争や湾岸戦争で巨額な利益を得る[ハリーバートン社]の最大株主のCEOに付き政界からは一線を退く。 映画では50数分位の所でラストクレジット(出演者名)を流し。 (アレッ、終わり?)と観客に思わせ。 再び映画は継続されるという演出がなされる。 そういった一般的な映画進行とは違う演出は他にも。 アフガニスタン戦争とイラク戦争に従軍した退役軍人カート(“フィリップ·シーモア·ホフマンやマット·ディモン似”のジェミー·プレモンス)が映画の語り部として。 ある場面では、観客に向け話しかけたり。 自分が交通事故死した心臓を移植献体する描写(身体に手術後の線を見せたりする明るい調子)を入れた演出とか。 また政界重要ポストの人脈図を顔写真の駒しるし(チエスの駒風)で見せていったりするユニークな細かい演出は、映画全体に事欠かない。 この辺は『政治を風刺で笑い飛ばす独自性の手腕は健在っていう所か。 しかしながら最大の特色と言われれば、やはりチェイニー役のクリスチャン·ベール(74年生)が体重20kg増量し。更にアカデミー特殊メイク賞受賞のグレッグ·キャノン氏の力を借りての“成りぶり”である。 彼はこれまでも「マシニスト」(04)で4ヶ月で30kg減量。 「バットマンビキンズ」ではそこから45kg増量。「ザ·ファイターズ」(10)では13kg減量。 「アメリカンハッスル」(14)で20kg増量と。役づくりの体型変化伝説はスゴイの一言。 本作では家族からの心配もあり、栄養士に相談し健康的方法で増量したとの事です。 また他の俳優の“成りぶり”も秀逸で。 ラムズ·フェルド役のスティーヴ·カレル。 ブッシュ大統領役のサム·ロックウェル。 パウェル国防長官役のタイラー·ペリー。 そしてタフでしたたか、弁舌に優れたリン夫人(エイミー·アダムス)の存在なくしては。 チェイニー副大統領は生まれなかったとの印象も強い。 近年のディック·チェイニー氏は。 ドナルド·トランプ大統領の試みに協力しない歴代国防長官10名の共同声明をあげたり。 2024年大統領選挙の際には、同じ共和党のトランプではなく。民主党のカマラ·ハリス女史支持表明をしたそうである。 2019年4月5日に日本公開されている。 ちなみにディック·チェイニー氏は。 「スターウォーズ」の悪役ダース·ベイダーになぞらえた時はマンザラでもなかったそうだが。 果たして本作の自身像にはどんな印象をもたれたのであろうか!✨