レビュー
2020年145本目は、何度も実写化されてきたシャーロック・ホームズシリーズを新たな視点で描く『エノーラ・ホームズの事件簿』。 ------------------------------------------------------------ 冒頭から観衆に話しかけてくるまさかの「第四の壁」演出を用いた作品で、想像以上にコメディ・エンタメ色の強い展開に驚かされます。代わってホームズの名を冠しているわりに推理劇の要素はほとんど皆無と言って良いに等しく、散りばめられた謎もほとんどがアナグラム。そんなに同じ構造の暗号ばっかりバラまいたら簡単に分かるだろ、と推理小説好きとしては少々ガッカリさせられました。 ------------------------------------------------------------ それでもエノーラを演じるミリー・ボビー・ブラウンが所狭しと駆け回る様子はキュートで見ているだけで楽しいですし、ひょんなことから出会うテュークスベリー侯爵役のルイス・パートリッジはネクスト「ティモシー・シャラメ」枠の筆頭で、今後大注目だと思います。また、全体のテーマにフェミニズムを持ってくるのは良くある流れですけど、ホームズ一家との掛け合わせは非常に斬新でした。 ------------------------------------------------------------ 小説のなかでは天下無敵のシャーロックですが、本作では兄のマイクロフトと共にエノーラを家庭に縛り付けようとする「旧態依然の象徴」として描かれています。時代背景を逆手に取りホームズの不完全さを敢えて強調するあたりが巧みで、よくあるリメイクやパロディとは「違う色」がちゃんと出せているんじゃないかと思います。
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