レビュー
これは…良作です。 硬派で実直な宇宙ロマンスのようです。 今のところ、大きな事件が起こるわけでもなく、淡々とロケット打ち上げに向けた訓練が進んでいく、というストーリーですが、宇宙開発の歴史やロマンが織り交ぜられて面白い。かなりしっかりした原作の骨子を感じます。 ツンデレ林原キャラが、ほどよく真面目な雰囲気をほぐし、アニメとしてのバランスを取ってくれてる。 作中では、「吸血種族」はファンタジーの生き物ではなく、生物学的な実存の人類の亜種として描かれます。 犬の次の実験体として、人類ではないが、人類に近い異種族を使う、というところがポイント。 宇宙飛行士は「人類の代表」といった側面を見られることが多いですが、イリナは人類ではなく、異種族の実験体。 だけど、イリナの飛行が成功し、今度は人類が二番手で宇宙に行った時、本当にそれは「人類初の宇宙飛行」と言えるのか? きっと、最初に感じた「吸血鬼要素っているの?」という疑問に明確な答えをくれる予感がします。(5話時点) 【最終回視聴後】 物語の緩急はありますが、宇宙飛行や国家戦略といった壮大なテーマの割に、派手さはなく、実直に在るべきゴールに向かっていった感じ。 イリナの苦しさは伝わってくるが、最後まで淡々としていた。最終回のレフとの再会やイリナの演説は見せ方次第で、かなり感動的なラストになったんじゃないかなぁ…。 その点についてのみ、アニメとしての演出には物足りなさを感じました。 リコリスの料理ショーは手放しに感動しました。 「宇宙へ行く」ことは、窮屈な国家に雁字搦めにされたロシアの地面から飛び立つ「自由」のメタファーであると思いました。 吸血種として呪われた一族と忌み嫌われ、人間に迫害されてきたイリナが、人より先に宇宙に行くことで、人間を先んずる。 その過程で3人が種族を超えて、つまらない連邦国の種族差別に革命を起こしていく。 原作はまだ続きがあるようなので、きっとこの結末はまだほんの過程にすぎないのでしょう。 とにかくラストで笑顔の2人が見られてよかった。
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