レビュー
dreamer

dreamer

4 years ago

4.5


content

戦争のはらわた

映画 ・ 1977

平均 3.7

ドイツ軍の側だけを扱った戦争映画には、ルイス・マイルストン監督の「西部戦線異状なし」という傑作があるが、この「戦争のはらわた」は、男の理想とする"闘い"と"夢"をひたすら追求してきたサム・ペキンパー監督が、1943年のロシア戦線において、死と対峙する兵士たちの中にそのテーマを求めた力作だ。 敗色濃厚なドイツ軍のある舞台で、第2小隊を率いる人間味あふれるスタイナー伍長のジェームズ・コバーンが、自分たちの命を守ることを信条に闘い続けているところへ、プロシア貴族の誇りに凝り固まり、名誉欲に取り憑かれた将校マクシミリアン・シェルが赴任して来て、男同士の激しい確執のドラマが展開していく。 彼の願いは、名誉ある鉄十字勲章(CROSS OF IRON)を手に入れることだけで、捕虜のソ連の少年兵を殺せというシェルの命令に、コバーンが反対したのが始まりで、二人の対立は激化していく。 そして、シェルは鉄十字勲章の申請書に、コバーンの署名を求めようとごきげんとり作戦を試みるが拒絶される。 部隊長ジェームズ・メイソンや副官デイヴィッド・ワーナーが点描されるうちに、コバーンは負傷して病院へ送られ、看護婦センタ・バーガーと仲良くなったりするが、再び前線に復帰して、ソ連軍の猛攻に遭い、生き残った部下と孤立し、敵中を突破して友軍と合流しようとする。 このコバーン扮する主人公は、いかにも映画の主人公らしく、人情的で英雄的だ。 シェルの命令を受けて、コバーンや彼の部下たちを殺そうとした中尉を殺す場面は、さすがに暴力映画の巨匠ペキンパー監督らしく迫力がある。 全体を通じて最もペキンパー監督らしい野心が窺えるのは、すごく細かいカットを複雑に丹念に編集して、大激戦の迫力を構成しようとしたところだ。 凄絶な戦闘に男たちの求めるものは何か。 ペキンパー監督は、戦場での男たちの生き様を、スローモーションを効かせたダイナミックな演出で鮮やかに描写していて、ジェリー・ゴールドスミス作曲のエモーショナルなテーマ音楽も胸をえぐる。