レビュー
2020年130本目は、国家の隠された秘密をリークする女性をキーラ・ナイトレイが熱演する『オフィシャル・シークレット』。 ------------------------------------------------------------ 劇中、主人公であるキャサリンは非常に強い「信念の人」として描かれます。どんな状況に追い込まれても自らの行為を悔いることはなく、たとえ有罪判決で長い懲役を受ける可能性があったとしても、国民を守るために職務を遂行するという彼女の考えに「揺らぎ」はありません。そんな鋼の意思を持ってしても戦争を止めることはできず、多くの人が命を失っていく現実に打ちのめされます。 ------------------------------------------------------------ キャサリンの弁護士を演じるレイフ・ファインズの頼もしさは群を抜いており、彼がスクリーンに登場しただけで「勝訴」の2文字が思い浮かぶ貫禄は流石でした。しかし、全員が一致団結して作戦を練ったにも関わらず、裁判はあまりにもあっけない幕切れを迎えます。これは裁判をきっかけに新たな事実が浮かび上がることを恐れた国側の「戦略的後退」に他なりません。 ------------------------------------------------------------ 事実、キャサリンが勇気をふり絞ったあとも国家の愚かな過ちは続き、ジュリアン・サンジやエドワード・スノーデンらによってNSA(アメリカ国家安全保障局)とGCHQの盗聴作戦が次々と明らかになります。また、キャサリン本人も事件の影響が尾を引いて新たな仕事に就くことは叶わず、現在は家族と共にトルコで暮らしているそうです。正しいことをした人間が居場所を失うしかない世の中に、何だか暗澹たる気持ちにさせられます。
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