レビュー
エリア・カザン監督によって製作された1954年のアメリカ映画 ・ 第27回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞など8部門を受賞した ・ テリー(マーロン・ブランド)は元ボクサーだが、今は波止場で荷役をする日雇い労働者であった。テリーはある日、地元のギャングであるジョニー(リー・J・コッブ)の命令で、古い友人を呼び出し、結果的に殺害に関与してしまう。波止場を牛耳るジョニーが自分の立場を脅かす存在を次々と殺していくことに皆怯え、テリーも逆らえずにいた。しかしテリーは信念に基づき生きることに目覚めていく…。 ・ マーティン・スコセッシ監督が映画監督を目指すきっかけになったと言っている作品であり、エリア・カザン監督の代表作のひとつだ。エリア・カザンと言ったら、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープなどを輩出した「アクターズ・スタジオ」の創設者であり、メソッド演技法を広めた偉大な人物。 ・ スコセッシとデ・ニーロは、エリア・カザン監督がアカデミー賞名誉賞を授与された時のプレゼンターを務めた。赤狩り時代のハリウッドで仲間を売った過去があるカザン監督だけに、拍手しない監督や俳優もいて、かなり異様な雰囲気だったらしい。そんなカザン監督を擁護したことが、長年スコセッシがオスカーを受賞できなかった理由と言われていたりする。 ・ 奇しくも、この作品の内容が内部告発をする主人公が仲間たちから無視されるという内容なんだけど、監督の未来を自ら予言しているような内容だ。この映画で最高なのは、主人公の気高き精神だろう。多くのハリウッド映画は、当たり前のように敵を殺してハッピーエンドとしているが、復讐を勝利と言えるのか?と考えると、この作品のラストの気高さは心を打たれる。 ・ チンピラから気高き男となる主人公を演じ、オスカーを受賞したマーロン・ブランド。20世紀最高の俳優と言われるだけある。この作品の演技は、メソッド演技法の代表的なものと言われている。日本ではジーンズにTシャツを流行らせたのはジェームズ・ディーンと思われているけど、ジェームズ・ディーンもマーロン・ブランドを真似していただけで、マーロン・ブランドこそが、現代若者ファッションの源流だ。この映画のマーロンもかっこいい。 ・ マーロンの演技はもちろん最高だけど、それを引き立てる共演者の存在を忘れてはいけない。助演女優賞を受賞したイディ役のエヴァ・マリー・セイント、神父役のカール・マルデン、テリーの兄チャーリー役のロッド・スタイガー、ギャングのボス役のリー・J・コッブと、名優がこの作品を盛り上げている。 ・ この作品を観れば、スコセッシが影響を受けているのがよく分かるだろう。ギャング映画の教科書と言ってもいいかもしれない。多くの俳優が、マーロン・ブランドの影響を受けたのは言うまでもないし、この映画から学べることはたくさんあると思う。これは映画を探究するなら、絶対観なくてはいけない作品。
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