レビュー
くらっしゃあ

くらっしゃあ

5 years ago

5.0


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太陽の王子 ホルスの大冒険

映画 ・ 1968

平均 3.2

【私的アニメーション映画50選】 ◇ヒルダはバラバラな映画◇ 小学生の頃の夏休みとか冬休みの午前中にちょくちょくTV放映していた『東映まんがまつり』のラインナップのひとつだった『太陽の王子ホルスの大冒険』。 本作は、アニメ界の名匠高畑勲の初監督作品であると同時に、当時まだ20代だった宮崎駿が初めて【場面設計】という役割で本格的に制作に携わった映画。 そしてアニメーターとして原画も担当しているのだが、とにかく素晴らしい場面が続出なのだ。 大カマスとホルスの闘い。 川を遡上してくるサケとそれを捕まえる村人たち。 村人たちの踊り、結婚式・・・躍動感に溢れた数々の場面には今観ても感心してしまう。 (太陽の劔が刺さっていた)岩男モーグをデザインしたのも宮崎駿だったはずだ。 そして、作画監督は大塚康生だ。 アイヌの伝承が元になっているというストーリーに目を向けると、これがけっこう重い。 悪魔グルンワルドは物理的な攻撃よりもまず、人間同士の不信感を増長させようと画策してくる。その先鋒となるのが少女ヒルダで、彼女を通して本作を観るといっそう重さが感じられる。 また彼女が劇中で歌う唄。 最初はなんとなく聴いていたが、ある時歌詞をじっと聴いてみて、実はけっこう怖い唄であることに気がつき、本作に対する評価がいっそう高くなった。 ちなみに、件の歌詞は以下のとおり。 むかしむかし かみさまがいいました おやすみ みんな やさしい わたしのこどもたちよ むかしむかし かわうそがいいました おねがい かみさま くろくまのうでに てつぐさり おやすみかわうそよ くろくまのうでは もうはねた むかしむかし くまどもがいいました おねがい かみさま かわうそがこざかな あらします おやすみくまたちよ かわうそたちは もうひにくべた むかしむかし かみさまがいいました おやすみ みんな やさしい わたしのこどもたちよ ・・・やっぱり怖いわ。 ともあれ、1968年の作品ながら、そのクオリティは高く、大人の鑑賞にも十分に耐え得る名作だと思う。 私自身も本作が素晴らしい名作だと気づいたのは大人になってからだった。