
ジュネ
3.0

ウルフズ・コール
映画 ・ 2019
平均 3.1
2020年151本目は、超人的な聴力をもつ新人ソナー技師の苦悩と葛藤を描きます『ウルフズコール』。 ------------------------------------------------------------ 男だらけのサブマリン映画はたくさんあるものの、聴力を武器にわずかな音を聞き分ける「ソナー分析官」を主人公にしたのは非常に面白いと思いました。様々な指令系統やチーム一丸の団結力によって状況を打開していくのではなく、本作では完全に主人公シャンテレッドの「耳頼み」になる局面がいくつも登場します。寸分の狂いも許されぬため彼にのしかかるプレッシャーは尋常ではなく、同情してしまうほどです。 ------------------------------------------------------------ しかしそれにしたってシャンテレッドはあまりにも責任感に欠け、正直「主人公としての魅力」に欠ける人物です。本作では脇を固めるオマール・シーやマチュー・カソヴィッツの男気、存在感に惚れ惚れしてしまう瞬間が多く、シャンテレッドが一番「空気」と化しているのが上手くなかったですね。また、中盤には彼が恋人と付き合うシーンなど陸でのプライベートがダラダラと描かれるため、緊迫感が失われて全体にたるんでいる気がします。 ------------------------------------------------------------ 一方、ロシアとの国家間戦争を予感させたかと思いきや、とんでもなく深刻な事態に発展するストーリーには驚愕しました。ちょっとこんな「予想外の敵」は中々お目にかかれないのでは。あまりのバッドエンドに暗く沈んだ面持ちのまま退場する羽目になりましたけど、アンハッピーな結末がお好きな方には是非見て頂きたいです。