レビュー
タイトルの真意がラストで重く伝わってくる。供述が次々と変わる被告を軸に、局面が何度も転換さながら、弁護士がその真意“三度目の殺人”にゆっくり近づいていく法廷心理サスペンス。 第74回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。「そして父になる」の是枝監督と福山雅治の再タッグ。同映画の際に、法律監修で参加した弁護士と話すうちに、司法の場を映画化したいと監督が思って実現したものらしい。 タイトルの重みがラストで分かる。「生まれてくる事は選べない」「両親も妻も死んだのに、人を殺した自分は生きている」“命の選別”という重いテーマを、三隅(役所広司)の思いを通して伏線的に描いてると思う。 真実に無頓着だった重盛(福山雅治)が、自身の環境を顧みながら、次第に三隅に感情移入して真意にたどり着く描写が芸術的。ガラス越しに映る両者を重ねるなど、心理描写に合わせた演出も監督の細かいこだわりだったと思う。 あえて真実の解釈を視聴者に委ねる作りになっていたが、真実を描いた上で、被告の感情を爆発させれば、より心を揺さぶる映画になっていたかも。
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