レビュー
★死ぬまでに観たい映画1001本《第四版》選出★ デヴィッド・リンチといえば、どうしても妄想的とかエキセントリックな作風をイメージしがちだ。まあもちろんそういう映画のほうが多いわけだが、後年の『ストレイト・ストーリー』のように、真正面から味わいのある映画だって難なく取る。 公開から40年余、ようやく観た『エレファント・マン』は、19世紀末のイギリスに実在したジョゼフ・メリックという青年を若き日のデヴィッド・リンチが真正面から描いた映画。たとえば衝撃作だとか問題作、名作、傑作、おもしろいおもしろくないなどという次元では、少なくとも私には語れない映画だった。 プロテウス症候群であろうとされているが、人間のDNAの塩基配列にどんなエラーが起こったら、こんな風に身体を変形させるのだろうか。劇中のメリックの姿に、いくらなんでもと思ったが、実際の彼の写真を見たらほぼそのままだった。 映画は彼の27年間の人生の終盤のある期間の出来事を、淡々と描く。ストーリー展開として観る者の心を波立たせる描写もあるが、デヴィッド・リンチは何の主張もしていない。何を感じるかはあくまでも観る側に託されていると感じた。 ただ、ラストに流れる「弦楽のためのアダージョ」はジョゼフ・メリックへの葬送の意を込めたのだろうか。そこにはデヴィッド・リンチの何らかの想いがあったのではと思っている。 「弦楽のためのアダージョ」は『プラトーン』でも効果的に使われている。 【U-NEXT】
いいね 17コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.