レビュー
【映画史に残る映画】 車にバイクに銃に、ド派手アクション大健在。バディ感、チーム感の増した最終章、ラストをまさかこの形で迎えるとは。映画史に残る一本で、映画ファンは鑑賞絶必。 ◆トリビア ○悪役サフィンの和風なアジトや衣装には、脚本も務めた日系アメリカ人監督のキャリー・ジョージ・フクナガが好きな、建築家・安藤忠雄の影響がある。(https://www.cinematoday.jp/news/N0126293) ○ 次のボンドのキャスティングは2022年まで検討しないとプロデューサーが明言した。(https://www.crank-in.net/news/94559/1) ○クレイグがボンド役を務めたのは15年間で歴代最長。またクレイグ自身は、前作「スペクター」で降りるつもりだった。(https://bunshun.jp/articles/-/49034?page=1) ○監督の交代、ダニエルの骨折、スタジオの爆発、新型コロナの影響などで、映画の全世界同時公開が3度に渡って延期された。(2020年2月→2021年10月)(https://front-row.jp/_ct/17455774) ○パロマ役のアナ・デ・アルマスの出演が決まった時点では、パロマというキャラクターは存在していなかった。(https://theriver.jp/nttd-anadearmas-interview/) ○ 本作のエンドクレジットBGMのルイ・アームストロング「愛はすべてを越えて」は、シリーズ中、最もロマンチックな一編とも言われる『女王陛下の007』(69)で使われたもの。(https://news.yahoo.co.jp/articles/ffc026f78a071c6b3695a9c21ef8529277363501) ◆概要 「007」シリーズ25作目。 【上映時間】163分(シリーズ最長) 【監督】「ビースト・オブ・ノー・ネーション」キャリー・ジョージ・フクナガ(日系アメリカ人) 【出演】ダニエル・クレイグ、レア・セドゥー、「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」アナ・デ・アルマス、「キャプテン・マーベル」ラシャーナ・リンチ、「ボヘミアン・ラプソディ」ラミ・マレック 【主題歌】ビリー・アイリッシュ「No Time To Die」(映画未公開ながら2021年グラミー賞受賞) ◆ストーリー 旧友フェリックス・ライターが助けを求めにやってきたことから、現役を退いたボンドに、誘拐された科学者を救出するという任務が課せられる。その過酷なミッションの中で、世界に脅威をもたらす最新技術を有した黒幕を追うことになるが……。 ◆ド派手アクション 言わずもがな、シリーズのどの作品にも引けを取らない、御歳53歳(撮影時は50前後か)のド派手アクション。告知で出てきた、橋からのダイブや、バイクで建物を飛び上がる大ジャンプ、360度囲んだ敵にぶちまかすカーマシンガン。そのどれもが、息をつかせぬ怒涛の展開。最期のダニエルを意識しながら、どこか自分も噛み締めながら鑑賞していた。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆バディ感 今回から登場した後任の007(ノーミ)。いつも一匹狼のボンドがバディとなってサフィンのアジトへ向かう頼もしさがあった。加えて、3Dマップを見ながらリアタイで指示を出すQやMI6メンバーのチーム感。特にそんな技術が飛躍的に向上しているQとのバディ感も色濃い。いずれも過去作にないバディ感であり、どうしようも無いワクワク感。ベスパーの墓もあれば、ジュディ・デンチ扮するMの肖像画あり。これも同様、シリーズとして積み上げてきたキャラクターが終焉に結集する大団円感だった。 ◆日本 “ヘラクレス”工場があるのは日本とロシアが双方領海を主張しているエリアにある島。サフィンのアジトでは、畳に作務衣。思えばサフィンが冒頭つけていた能面も、ボンドとマドレーヌがサフィンに追われた際に乗っていた車もトヨタのランドクルーザーだったし、過去作に比べてやたらと出てくる日本感。前述の通り、これは間違いなく監督であり脚本も務めた日系アメリカ人のフクナガ監督の影響。日本人だからこそ気づくこの日本感も、本作の側面的な楽しみ方かも知れない。 ◆ラスト マドレーヌとマチルドにターゲットされた細菌を浴びたボンドが取った選択は、自害(みたいなもの)。今までどんなピンチでも回避してきたボンドがまさか!な展開だったけど、MI6チームの乾杯ではMが「生きながらえるよりも尊厳なる死を」(全然セリフ違うけど確かこの類い)と語ったのが、ボンドの想いの代弁なはず。ボンドがマドレーヌを乗せて走ったイタリアの海岸と同じカットで、マドレーヌがマチルドを乗せて言った決め台詞「Bond, James Bond」。シリーズの終結を肌で感じるラストに思わず落涙してました。ダニエルとして15年、007シリーズとして約70年の一つの結論、まさに映画史に残る勇壮なラストでした。 ◆次 気が早いけど、もし次のシリーズが近いうちに、現スタッフで作られるとするならば、007を成長したマチルドが継ぐ展開は十分あり得ると思う。ノーミという女性エージェントが一時は007を襲名したのも、その伏線となるには十分。ダニエルはインタビューで否定したようだけど、自分はあり得ると思います。
いいね 29コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.