レビュー
王宮制度社会の中の権力志向の波に、翻弄された姉妹の物語。英国の近代歴史上における有名な話らしいが、映画においては、人物や性格に多少の変更を娯楽性という点でみたか。 俳優陣の個性と演技の魅力、効果音楽の使い方、画面色調の変化とバランス、衣装・装置・ロケーションなど、遜色なく見られた。 姉妹の母親は、裕福な家柄の出身で、父親や叔父の考え方(眼前の利権を目論む)には批判的だ。 姉がフランス宮廷にしばらく素養を身に付けるために出された時も。 『女たちが、どうやって喚かずに男を操るか観察しなさい。男に主導権があるように思わせる。それが女の奥義よ。』と言って送り出す。 もともと活気で利発な姉・アンはフランス仕込みで、ヘンリー 王を一度は我が物にするが、自身の犯した罪が、悪評判と疑惑を重ね、ついに罪科に身を落とす運命を引き寄せる。 一方の妹のメアリーの性格は、姉に比べ、どこまでも限りなく善良で一途、結果的には、歴史の波に沈められたが、ささやかなる幸福を迎えた。 どちらが、時代や社会の思想に捕らわれない、生き方だろうか。受容と忍耐の精神。性格から生まれた普遍性真理とは? 歴史を俯瞰映像で見られる、映画の特権である。
いいね 5コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.