面白かったー! 逆転劇、復讐劇としての面白さは当然として、そこに笑いどころや泣き所をきっちり入れ込み、宝探し(そこにあるのは確定だけど鍵がないからね)やラブの塩梅もほど良い。面白ドラマの幕の内弁当みたいなドラマ。
イタリアマフィアのコンシリエーレという立場に、韓国人(というかアジア人が、養子とはいえ)がなれるのかという問題はおいといて、面白い立ち位置の主人公作ってきたな~という。もう一人の主人公、女弁護士も良い意味でクレバーなのが良い。彼らを囲む人たちもキャラ立ちバッチリで、見るほどに彼らへの愛情も深まるストーリーになっている。
1話1時間半×20話という長尺めのドラマのせいか、演出がとにかく凝っていた。各話ごとに一旦話を落ち着けながらも続きが見たいというストーリー展開は、正直愛の不時着を優々越えてきた。暴力への容赦なさ(最後の数話でそれが顕著になる)も含めて、細かなところまでしっかり作り込んだ良作どころか傑作だと思う。アクションもよく見るとそれぞれベースが違うことがうかがわれ、堪能した。(ベースの違いは最後のほうで明らかになるので、お楽しみに)
張られまくった伏線をきっちり回収してくれるので、そういう意味でもスッキリするドラマ。
んで、「悪役」が非常に好演している作品は良い作品。今回の「ラスボス」はオク・テギョンさんが好演されていて、きっちり復讐されるときに「やってやった!」っていうある種のカタルシスが得られる。良いお仕事をされたな~という。そしてその『相棒』である悪徳弁護士を演じたキム・ヨジンも良い。エキセントリックな悪役コンビと、日和見に必死な小悪党たちという濃淡もあって、物語に説得力を与えてくれた。しかし、オク・テギョンさんってアイドルさんなんでしょ?(何者か知らなくて調べた)よくあの役をOKしたな~と感心しきりだったし、演じきった彼に脱帽。今後どういう役をやるかはしらないけど、色んな役をバリバリやる彼は見てみたい。
キム・ヨジンさん演じる悪徳弁護士、ああいう立場に女性を使う時点で、韓国では制作サイドがどれほど女性差別への理解度が高いかわかる。悪役にしたから差別的ではなく逆。こういうえげつない役をベテラン女性俳優が演じているのを、日本ではほとんど見ない。良い役に据えてるから差別じゃないよね?じゃなく、人間だもの、女性だって野心はある。そのために悪事に手を染める女性がいたっておかしくない。それ故にえげつない復讐の的にされることも「人間」として女性をとらえているからだ。韓国の現実社会は、まだまだ日本と対して変わりないと思うけど、創作物は常に現実社会の半歩、1歩先を行くのだという気概をこのドラマに限らず韓国ドラマから感じる。