レビュー
dreamer

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4 years ago

4.5


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ヤンヤン 夏の想い出

映画 ・ 2000

平均 3.6

"同時代を優しく、静かに描くエドワード・ヤン監督の「ヤンヤン 夏の想い出」" 現代の都市に生きる人々には、洋の東西を問わず、人間関係やライフスタイル、コミュニケーションの取り方などに、ある種の共通性がそこにはあると思う。 それと同時に、それぞれが独自の文化、歴史を背負っていることもまた、事実だろう。 台湾を代表する監督の一人、エドワード・ヤン監督が「ヤンヤン 夏の想い出」で描く家族の物語は、そんなことを思わせてくれる、優れて同時代的な秀作だと思う。 そして、穏かな優しさと異様な緊迫感が同居した映像世界は、エドワード・ヤン監督ならではの濃密さだと思う。 舞台は現代の台北。市街地の高層マンションに暮らすのは、病に倒れた祖母、中年の悩みを抱える両親、少女から女性へと成長する姉、そして彼らを少年の目で見つめる八歳のヤンヤン。 三世代の「普通の」家族の心の機微が、淡々と、だが真実味にあふれて画面に映し出される。 筋立ての起伏で見せる映画ではないから、気をそそるストーリー展開ではない。 だが、賑やかな結婚式のシーン、かつての恋人と再会する父の静かな苦悩、初恋に胸をときめかせる姉の初々しさなど、物語は悠揚迫らぬペースで流れ、画面はどこをとっても繊細な息づかいに満ちていて、観ている私を飽きさせない。 特に素晴らしいのは、現代都市・台北の生き生きとした描写と、登場人物たちへ向けるエドワード・ヤン監督の限りない視線の優しさだと思う。 台北はまるで日本の大都会のような呼吸と肌触りだし、一家を囲むデフォルメされた人物群もどこか憎めない。 イッセー尾形扮する日本人のゲーム・デザイナー、大田の造形も含め、エドワード・ヤン監督の器の大きさが実感される2時間53分だ。 尚、この映画は全世界で絶賛され、2000年のカンヌ国際映画祭で監督賞、同年のNY映画批評家協会賞の最優秀外国映画賞、LA映画批評家協会賞の最優秀外国映画賞、全米映画批評家協会賞の最優秀作品賞を受賞しています。