
BLOOM

コーラス
平均 3.7
<<私の胸にも宿る一筋の光>> フランスで「アメリ」を超える870万人を動員した、教師と少年たちの心の交流を描いた爽やかな感動作。 1949年のフランスの片田舎。戦争で親を亡くした子供らが暮らす寄宿舎に一人の音楽教師・マチューが赴任した。子供たちは荒れ、それを力でねじ伏せようとする教師や校長、この学校は外観も心も荒んでいた。そんな子供たちを手なずけようとマチューは少年コーラス隊を結成する。落ちこぼれの音楽家だった彼は、荒れた子たちに手を焼きながら、時には校長のやり方に反発し、音楽の素晴らしさを教え続けていくのだった…。 これまで幾多も作られ続けてきた学園ドラマというジャンルの中にあって、これだけ人の心を震わせるのはその感動が歌声という媒体に混じって僕らの元へやってくるからなのだろう。主人公ピエール(ジャン=バティ・モニエ)の透き通る声は、ただそれだけで涙を誘う魔法のスパイス。加えてここぞのシーンで流れる主題曲の波長が僕の涙腺にピタリと収まってしまったのか、瞼が乾く暇がなかった。また、マチューを助ける数学教師や用務係の同僚がいい味を出していた。数学教師の本当に音楽が好きなんだという顔は何も言葉に出さずとも分かるほど。思わずこちらの口元まで緩ませる彼の演技は少年の歌声と共にいつまでも心に残っている。 とはいえ、ストーリーに荒さがあったのは事実。少年たちが変わっていくプロセスが性急すぎていたし、濡れ衣を着せられた少年に救いがなかったのも気になったが、全て歌声というキラメキに紛れてしまっていたのだから、音楽とは不思議なものだ。 作曲家シューマンはこう言った。「芸術家の使命は、人間の心の奥底に光明を与えることである。」と。マチューが作り教えた音楽は、彼に関わった全ての人たちに希望という光を与えた。その光が宿った歌声はやがて僕ら聞き手の心に一筋の光を灯すのだろう。(05/05/29)