
honohono42

たかが世界の終わり
平均 3.3
2017年02月28日に見ました。
1日に二本、しかも映画館を変えての鑑賞は初めて。「ラ・ラ・ランド」のあとのグザヴィエ・ドラン。一転して心理劇。 飛行機の中のルイ(ギャスパー・ウリエル)が後ろの席の子どもにイタズラをされる。彼のその穏やかな表情から始まる。 12年ぶりに家に帰るルイを迎えるのは母マルティーヌ(ナタリー・バイ)、兄アントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)、その妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)、妹シュザンヌ(レア・セドゥ)。基本この5人の会話劇。 前半の会話がツライ。母のどぎつい厚化粧と同じく周りを気にしない自分勝手さ、妹の途切れ途切れの喋り方、兄の言い掛かりとほんとどうでもいい微妙な挙げ足取り、その妻の弱気なくせに強気な話し方、ほとんど喋らないルイ。 家族の愛、違うな、愛と家族か、いややっぱり家族の愛を描いている。 家族は諸刃の剣だ。自分を無条件で愛してくれるが一番傷付けるのもまた家族。血の繋がり故に。そして血の繋がりは消せない。5人とも、凄まじい演技だった。 私にしたら、思いもよらぬ結末だった。でもそうか、そうだよなと思った。 「たかが世界の終わり」 なんてタイトルだろう。この作品のタイトルにこれほど相応しいものはない。 **ネタバレします** もうルイが不憫でならない。あぁ世界の終わり…ルイの世界は終わってしまった。微かな希望も踏みにじられ、見たかった生家も見られず、愛した人の死を呆気なく知らされ、誰にも自分の気持ちを伝えることもないまま、帰ってきたことが間違えだったかのように追い立てられ、永遠に家族との別れ。 諸刃の剣、母がこう言う。 「どうして気づかないの?あなたを愛していないことを。でもあなたを愛してるわ」 まさしくこの言葉は母である私にもわかる。自分の子どもなのに理解できない苦しさ敗北感、お前なんか愛していない!だけど誰よりもお前を愛しているのは私だけだ!! お前から不吉な言葉なんて聞きたくない。察した家族の不自然なほどの罵声の応酬。遠ざけるしか方法がわからない、居ても立っても居られない兄。ラストの壁掛け時計の鳥とルイの背中。 テーマがわかりやすい作品だった。オープニング曲とエンディング曲で内容を説明している。こんなにエンディング曲まで感慨深く聴いたことはないかもしれない。ただ、流すべき涙も全て作品の中に吸い取られた気分だった。