レビュー
ゴースト(見えない脅威)を排除するためならば、核兵器だってサラッと使うぜ! 『ゴーストバスターズ』 レイ・パーカーJr.のおなじみの曲にのせて、拳を突き上げながらも、少年時代の私の胸中には拭い去れ難いギモンがありました。 「ジュリーがあんなに苦労して手に入れて、文太兄があんなに執拗に追いかけたプルトニウムが、アメリカではあんなにサラッと手に入んの⁉︎」 日本とアメリカで、「核」というものの捉え方がこれほど違うものか…という漠然としたギモン。…なんというんでしょう。ゴーストって、ぶっちゃけ本来はわざわざ退治しなくてもいいものじゃないですか。だからなのか、当時『はだしのゲン』なんかを読んで「ギギギだぞギギギ…」と、核のオソロシさをビビりまくっていた私には、モヤモヤした感情がずーっと残る作品でもあったのです。いや、すんごい楽しいし、大好きなんですけどね。なんかこう…サラッと扱いすぎてて、受け止め方がわからなかったんですよね。大きく持ち出して「不謹慎なっ!」と怒り狂うのもなんか違うし…。 私にとっての『ゴーストバスターズ』とは、そんな作品。ビル・マーレイもダン・エイクロイドもシガニー・ウィーバーも大好きなんですけどね。 さて、そして30年ぶりの本作。実際に観るまでの印象としては、「メンバーを女性に替えて、最新のCGを駆使した一作目のリメイクか…時代やね」という感じ。 しかしながら、本編を見てその考えは一新されました! CGを駆使して、女性にすげ替えただけのリメイクでは全然なかったですね。 まず主役となるバスターズメンバー4人!彼女たちのコメディエンヌぶりが素晴らしい! 聞けば皆さん本物のコメディエンヌだそうで、シーンごとに繰り広げられる「ネタ」が全部オモチロい!しかも四者四様にネタのバリエーションが異なっており、それぞれのクオリティが非常に高いです! また「マイティ・ソー」ことクリス・ヘムズワースが、ヘムズワース史上最高の演技を魅せてくれています。もうね…バカです!最高に肯定的な意味で! 問題の「核」描写ですが、あきらかに不謹慎! 不謹慎ですが、バカすぎて笑える…敢えて「不謹慎ギャグ」にまで昇華されているので、洋画によくある「全然わかってねーよ!」的な、『ダイ・ハード ラスト・デイ』的な、『インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国』的なムカつきは無かったです。 「ゴースト(見えない脅威)を排除するためなら、核兵器だってサラッと使うぜ!」的な、アメリカ的なアホさを皮肉っている様に見えたと言いますか…。 コレで怒るなら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか一部の『ゴジラ』映画にも怒り狂わなけれればならないような気がしました。 もちろん、怒る人は怒っても仕方ないと思います。 私が個人的に素晴らしいと感じたのはエンドロールで、「観客を楽しませたい」という作り手のサービス精神。超大作映画のエンドロールといえば、真っ暗な画面に延々とスタッフロールが流れるのが普通で、「この後なんかあんじゃねーか?」という期待値でそれを乗り切る作業が必要ですが、本作に限ってはその心配は不要です。楽しい!エンドロールが楽しい! 全米では公開前から、映画の内容と全く関係ないところで非常に腹立たしい批判が話題になっていますが、お時間のある方、過去作に思い出のある方には是非オススメしたい、素晴らしい作品だと思います。できれば過去作をご覧になってから劇場に足をお運びください。
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