レビュー
2020年154本目は、デビュー作にも関わらず各所で高い評価を得ました『ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ』。 ------------------------------------------------------------ 始まった瞬間からタイトルの意味を悟るかのように、サンフランシスコの美しい風景が郷愁を誘うカメラワークによって美しく映し出されます。全編を通して主人公の故郷を愛する思い、自分の居場所を求める執念に圧倒されるストーリーでした。彼の欲する祖父伝来の家がこれまた歴史を感じさせ、ヴィクトリア朝時代の名残を残す三角屋根が強い印象を残します。 ------------------------------------------------------------ しかし現代では次々に都市開発の波が押し寄せ、かつてとは違ってどこを見渡しても同じような風景が広がるばかりです。作中では海洋汚染による奇形魚の出現にも話が及び、サンフランシスコの今と昔が鮮明に浮かび上がります。特に主人公のような貧困層にとっては「ジェントリフィケーション」の影響は切っても切れない問題でしょう。 ------------------------------------------------------------ こうした様々な問題が芸術的に散りばめられる作品を選ぶとは「流石A24!」なんですけど…共感できない彼の性格や思考にはフラストレーションが溜まる面も。祖父の家と言ったって別に今はお前の家でもなんでもないし、勝手に敷地に入ったり不法滞在するのは愚の骨頂でしょう。その友人もやけにこいつの肩を持って不動産会社に因縁つけたりして、とにかく不愉快な連中で全く好きになれなかったです。
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