
ジュネ

パラサイト 半地下の家族
平均 3.9
2020年7本目はカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞、賞賛以外の言葉が存在しないポン・ジュノ監督最新作『パラサイト 半地下の家族』。 ------------------------------------------------------------ 噂に違わぬ全ジャンル制覇級のとてつもないパワーを持った作品でした。シリアスな話題を扱いながらも常にエンターテイメントな作風は、ポン・ジュノ監督というより韓国映画全体に共通する見どころですけど、それにしたって中盤のひっくり返し方には驚かされました。極限の格差社会を要所要所に不謹慎な笑いを挟みつつコミカルに描きますが、最後に訪れる結末は余韻たっぷりで、全体のバランスの取り方が絶妙じゃないでしょうか。 ------------------------------------------------------------ 主人公家族の背景を徹底して見せないまま、あれよあれよと侵略が進んでいく様はまるで絵空事のようです。『スノーピアサー』『オクジャ』にも見られた、寓話的な要素の強いポン・ジュノ監督らしさが発揮されています。それを印象付けるのはあちこちに散りばめられた「象徴」の数々で、階段ひとつ取っても、上り下りするパク家とキム家の姿を対比的に捉えるための小道具として使われており、非常に意味深に映ります。 ------------------------------------------------------------ 他にも富の象徴とされる石や、白人の略奪の象徴であるインディアンが劇中でどのように使われているかに注目すると、これ以上の皮肉はありません。また、本編唯一のセックスシーンや官能的な甘さの「桃」、子供の好物とされる「梅ジュース」を危険や死の気配と背中合わせに配置することでより不気味さを煽るなど、工夫を凝らしたシーンの連続になっています。受け手側の想像によって内容を補完する、映画ならではの楽しみ方を最大限に引き出した一作と言えるでしょう。