レビュー
てっぺい

てっぺい

7 years ago

3.5


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日日是好日

映画 ・ 2018

平均 3.5

【五感が研ぎ澄まされる映画】 日本の四季の美しさが、茶道の穏やかな所作、樹木希林と黒木華の好演とともに紡がれる。心地いい反面、映画を五感で感じるよう暗示されているような、見ているこちらの感性が研ぎ澄まされる映画。 ◆概要 原作は森下典子のエッセイ「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」。出演は黒木華、多部未華子、そして本作公開前の2018年9月に他界した樹木希林ら。監督は「まほろ駅前多田便利軒」の大森立嗣。 ◆ストーリー 「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子は「武田のおばさん」の茶道教室に通い出す。20数年にわたる武田先生とのふれあいの中、就職、失恋などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていく。 ◆感想 意外と感性を研ぎ澄まされる映画。季節によって変わる茶道の所作や、節目の行事やその景色、日本の文化の穏やかな描写から感じられる季節の移り変わりがなんとも心地いいのと同時に、その感覚を持ち合わせているか?見ているこちらの感性を試されているような、そんな気がした。 鑑賞中に音を立てるのがはばかられるほど音の少ない映画であり、それが要所に当時する水の音のシーンをより強調し惹きつけていると思う。お茶を立てる水と湯の音の違い、掛け軸から滝の音を連想するシーン、突然降り出した雨から父を連想するシーン、そのどれもが典子がやがて気づく“好日”の意味に繋がっておりかつ、重ねられる美しい日本の四季の映像とともに、この映画の全体的な穏やかさを紡いでいると思う。 また、密かにアドリブバトルでもやってるんじゃないかと思えるほどの、黒木華と樹木希林の自然過ぎる演技。劇中に二度出て来た黒木華の「あー!」、そして樹木希林と黒木華が軒先で父を偲ぶシーンは特にその演技に目がいくシーンでした。ホントこの映画の雰囲気にぴったりの2人。 茶道に関しては全くの無知で恥ずかしいのだけど、伝統に根付いた考え方やその細か過ぎる所作、そもそも素質のあるなしの概念まで、その世界観の奥深さに少し知れたような感覚。お茶菓子を食べたくなる事は間違いない。(エンドロールの和菓子店の数は自分史上最多笑) まだまだ、こんな雰囲気の映画に佇む樹木希林さんを見たかった。