レビュー
2020年34本目は、芥川賞受賞の短編小説を『るろうに剣心』の大友監督が映画化したドラマ、『影裏』。 ------------------------------------------------------------ お話の流れは非常に淡々としておりまして、二人の男の友情がひたすらに綴られていきます。一応、後半には東日本大震災が引き合いに出されると共に、松田龍平演じる日浅の本性が描かれますが、何ら大きな事件は起こりません。こうしたお話は何の変哲もない日常と、そこにふとした瞬間差す影の対比がいかに鮮やかに出せるかだと思うんですね。ただ、いつものことながら大友監督の演出は大袈裟だしド派手。 ------------------------------------------------------------ そもそも綾野剛と松田龍平が主人公というだけで絵力は相当なもんですけど、大友監督は彼らの顔をやたらとアップにして画面いっぱいに映すわけです。他にも、冒頭で綾野剛の生足をなめるように映しとってみたり、ドアップで官能的に桃を食わせてみたり、こんな分かりやすいことする意味があるのかと疑問に思います。ですから一見「分かりにくい」ように見える本作ですが、実際は「分かってました」「知ってました」の連続で、非常に単調に感じてしまう。原作はもっと繊細な描写の連続なんじゃないでしょうか。 ------------------------------------------------------------ 後はこれも監督の気質なのかもしれません、毎度のことながらランタイムが長すぎます。今まで11本の映画を作られてますけど、2時間を切ったのは『億男』だけで、残り全て2時間20分前後の長尺なのが驚愕です。そもそも原作は「短編小説」なんですから、もっとコンパクトにしてほしいですね…。
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