レビュー
インターネット、とりわけSNSをめぐるトラブルにまつわる群像劇。もはやこのテーマもありきたりになってきた感は否めず、一歩間違うと上っ面だけの社会派ドラマに成り下がってしまいます。 しかし本作では取り上げている問題がネットいじめ・個人情報の流出・性的サービスの氾濫・カード詐欺・なりすまし…と多岐に及ぶ上、それに巻き込まれる登場人物もテレビ局のリポーター・裕福な弁護士の一家・しがないシングルファーザー・倦怠期の夫婦…とまるで立場も境遇も異なる人々ばかりで、各々のパートの色が何一つ混じらないように配色しているのが見事です。 彼らの抱える問題は全て、ネットでしか寂しさを埋められず、最も大事な人と正面から繋がろうとしなかったことが原因です。ところが、そんな共通項を持った彼らが映画のなかでは互いに関わり合い、1つの大きな輪で繋がるのだから何とも皮肉です。 幕切れは非常にシビアですが、誰か一人のせいではなく、小さな積み重ねを避けてきた全ての人々に罪の重さを問うラストで、私は非常に好感を持って受け止めました。
いいね 8コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.