レビュー
2820年85本目は、白人至上主義団体で過激な活動を繰り返してきた男の再生を描く実録ドラマ『スキン』。 ------------------------------------------------------------ ジェィミー・ベルが体全身にタトゥーを入れまくった見るからに「ヤバめ」な男ブライオンを熱演しているんですが、女性との出会い1つで人間ここまで変われるものかと驚嘆しました。お相手のジュリーは実物のエキゾチックな容姿とかなりかけ離れており、恰幅の良いダニエル・マクドナルドをキャスティングすることで、見た目に左右されない「運命的な出会い」が強調されています。ちょっとこの露骨さは賛否あるかもしれません。 ------------------------------------------------------------ ストーリーはBLACK LIVES MATTER真っ盛りのアメリカを想起させる内容で、この手の差別団体がやっていることはほぼ「カルト集団」と同じ手口だと感じました。劇中でブライオンの両親が最初に声をかけるのは、そこら辺にいる貧乏な家出少年。ブライオン自身も全く同じ方法で幼いころに連れてこられ、以来ずっと「洗脳」に近い教育を受けているんですね。だから、何が正しくて何が間違っているかを考える思考回路がそもそも存在しないわけです。 ------------------------------------------------------------ 理性のある大人ではなく、無知な子どもを犠牲者にするやり口は本当に卑劣だと思います。物語のスポットがブライオン自身の更正のみに当てられてしまったことで、人種差別にまつわる根本的な問題に対してほとんど掘り下げがなされておらず、予想以上に「大人しい」仕上がりになっているのは残念ですけど、今このタイミングで見るべき1本ではありましたね。
いいね 9コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.