レビュー
ひろ

ひろ

9 years ago

3.0


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人生はビギナーズ

映画 ・ 2010

平均 3.3

マイク・ミルズ監督・脚本によって製作された2010年のアメリカ映画。 息子のオリヴァー(ユアン・マクレガー)に、ゲイであることをカミングアウトしたハル(クリストファー・プラマー)。妻に先立たれ、自身もガンを宣告されるが、父は75歳にして新たな人生をスタートさせる。一方、オリヴァーは38歳になっても、内気な性格からなかなか恋をすることができない。しかし父が亡くなった後に仲間から呼び出されたパーティーで、運命の女性アナ(メラニー・ロラン)と出会い・・・。 マイク・ミルズ監督の父親との出来事を題材にしているとあって、けっこうリアリティがある作品だった。妻を亡くし歳老いた父親がいきなりゲイをカミングアウト。独身のまま恋愛に踏み出せない主人公は、自由に恋愛を楽しむ父親に接したり、若き日の母親を思い出しながら自分の生き方を見つめ直す。さらに、末期ガンの父親を看取るまでのエピソードも盛り込んでいて、うまくまとまっていた。両親の影響でいまの自分があって、また、父親の影響で一歩を踏み出そうとするのはなかなか素敵だった。 奥手なオリヴァーを演じたユアン・マクレガー。若い頃から脚光を浴びて、大作にも出演したりしたけど、やっと落ち着いた風格みたいなのが出てきた気がする。そんなオリヴァーと恋をするアナ役のメラニー・ロラン。「オーケストラ!」の彼女が印象的だったけど、フランスの実力派女優がアメリカ映画に出演するのは当たり前になってきてるね。フランスの女優さんって雰囲気がきれいって感じなんだよね。監督に脚本までこなす才女だから、これからもチェックだな。 この映画の主役はなんと言っても父親ハル役のクリストファー・プラマーだ。それほど多くはない見せ場でちゃんと存在感を出して、見事、演技部門史上最年長記録の82歳で、アカデミー賞助演男優賞を受賞した。「サウンド・オブ・ミュージック」で厳格な父親であるトラップ大佐を演じたプラマーが、45年の時を経てゲイの父親を演じてオスカーを受賞する。人生は面白いなあ。俳優は年輪を重ねて大樹になるものだけど、多くは途中で枯れてしまう。そんな中で咲き続けたクリストファー・プラマーを尊敬せずにはいられない。 原題は「Beginners」だけど、このタイトルは素晴らしい。誰だって初めての人生で、最初で最後の人生だ。誰もがビギナーズ。だからこそ、父親、母親、近くにいる人達から人生を学び、自分に合った生き方を模索していくのだ。作品は恋愛映画ベースではあるけど、人生を描いたヒューマン映画でもある。人生のビギナーズとして、映画から多くを学び取ろうじゃありませんか。