
dreamer

逃亡者
平均 3.5
この映画「逃亡者」は、妻殺しの汚名を着せられた医師が、無実の罪を晴らすために逃亡生活を送る姿をデヴィッド・ジャンセン主演で、1960年代に放映され驚異的な視聴率を上げた人気TVドラマを映画化した、サスペンスに次ぐサスペンスで観る者を全く飽きさせない、これぞアメリカ映画の真髄だと思わせるアクション・サスペンスの大傑作だ。 しかも、追われる医師と追う連邦捜査官とが並行して描かれていて、それこそ男対男の対決が火花を散らすのだ。 そして、そこには人情のかけらもないが、ラストで医師の無実が晴らされた時に、陳腐な言葉のやり取りなど一つもないままに、お互いやるだけやったなというような、男同士の心情が交わされる、この辺りの呼吸も実に見事だと思う。 まず、映画の冒頭のシーンで、大都会の夜景が画面いっぱいに映し出され、そこに音楽がかぶるところで、これからのドラマの展開の予感が心にワクワクする感覚で迫ってくる。 そして、しばしば出てくる、この夜景が非常に効果を出している。この夜景を背景にして、その一角で人間を抹殺してしまう非情さが浮き彫りにされてくるのだ。 映画はまず、髭づらの男が殺人容疑で逮捕されるところから始まる。 開巻いきなりドラマのクライマックスに突入するというのは、アメリカ映画のお家芸であり、これで我々観る者も、その真っ只中に投げ込まれるのだ。 髭づらの男はシカゴの有名な外科医リチャード・キンブル博士(ハリソン・フォード)で、彼は富と名声に恵まれた順風満帆の人生を送っていた。ある夜、緊急手術を終えて帰宅してみると、家から見知らぬ片腕の男が飛び出して行き、中では愛妻ヘレンが倒れていた。 キンブルは妻殺しの容疑で逮捕、起訴され、"片腕の男"を見たというキンブルの主張も空しく、次々と不利な状況証拠を突き付けられ、死刑判決が下ったのだ。 そして、護送中の事故に便乗して脱走した彼は、連邦捜査官ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)の執拗な追跡をかわしながら、必死の逃亡を続けることに-------。 無実の罪を晴らすためには、妻を殺した"片腕の男"を探し出すしかない。 やがて、事件の糸をたぐるうちにキンブルは、医師会に潜む陰謀にぶつかり----。 キンブルがダムから飛び降りるシーンをはじめ、豪快なアクションの連続も観ている私をハラハラ、ドキドキさせ、少しも飽きさせない、このアンドリュー・デイヴィス監督の演出も見事だ。 この無実の罪を晴らそうとするための男のバイタリティーは物凄いが、それを演じるハリソン・フォードの渋い味わいに対し、彼を追うクセ者ジェラード連邦捜査官を演じたトミー・リー・ジョーンズも冷徹で強烈な男っぽさを出して絶妙で、アカデミー最優秀助演男優賞の受賞も納得の演技であったと思う。