
YOU

天才マックスの世界
平均 3.5
2022年01月26日に見ました。
ウェス・アンダーソンが監督・共同脚本を務めた、1998年公開の青春コメディ。 ウェス・アンダーソンの長編2作目となる本作では、風変わりな天才青年マックスの高校生活がユーモラスなタッチで描かれます。今年1月公開『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』の予習と称して、ウェス・アンダーソンのフィルモグラフィをあらかた復習ってみました。私はこれまで8作目の『グランド・ブタペスト・ホテル』しか観たことがありませんで、彼に関する知識や思い入れは全くございません。ただそんなアンダーソン弱者の私ですら、本作のオープニングの数カットを観ただけで「出たー!」と思わず声を漏らしてしまいました。何がそんなに出ているのかと言えばもちろんそれは、アンダーソン作品の代名詞である「極めてグラフィカルな画作り」であります。印象的な左右対称の構図以外にも衣装やセット、小道具に至るまで全てが緻密にデザインされており、私のように一本しか作品を観ていない観客でさえその明快な作家性は意識せざるを得ません。また一貫しているのは画作りだけではなく、それこそ『グランド・ブタペスト・ホテル』でも描かれていた「若者と中年のユニークな関係性」は本作においてもメインストーリーとなっており、その独自にして繊細なユーモア感覚もアンダーソン作品の重要なエッセンスなのだと今回改めて実感しました。 またキュートでお洒落なデザイン性とは裏腹に、ドロドロした大人の世界やシビアな現実世界が物語の軸を成している辺りもまたウェス・アンダーソンの非凡な部分だと思います。だからこそ本作の主人公マックスは全くもって可愛くない、何なら全編通してひたすら憎たらしい人物なのですが、ウェス・アンダーソンの手に掛かればそんな厄介な人物や不健全な関係すらも可笑しく、そして微笑ましく見れてしまうのですね。もちろんの近作に比べれば爆発力にはやや欠けますが、それでもクライマックスの”とある舞台”には驚かされました。甘すぎず苦すぎないラストの余韻なんかも素敵ですし、ウェス・アンダーソン作品の入門編としてもオススメです。 当時25歳で高校生ピーター役を演じたトビー・マグワイア以上に「これはいくらなんでも老けすぎじゃないの?」と思いながら見ていましたが、主演のジェイソン・シュワルツマンは当時17歳のバリバリ現役高校生でした。大変失礼しました。