レビュー
dreamer

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4 years ago

4.0


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バーディ

映画 ・ 1984

平均 3.5

この映画「バーディ」は、ウィリアム・ワルトンのベストセラー小説を、「ミッドナイト・エクスプレス「ミシシッピー・バーニング」の名匠アラン・パーカー監督が映画化し、鳥を熱愛し、それと同化しようとする青年の心象風景を鋭く映像化した異色の傑作で、1985年度の第38回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞しています。 主人公の青年バーディは、ヴェトナム戦争に出征して、前線で錯乱状態に陥り、今ではアメリカの精神病棟の一室で、まるで飛べない鳥のように身をかたくして座り込み、一日中、金網のついた窓から見える空を眺めているだけです。 そう、バーディは、ヴェトナムの戦場で精神錯乱になって、"鳥"になってしまったのではなく、鳥が大好きな人間であった彼は、しだいに病がこうじて、鳥に"自己同一化"してしまったのだ。 そして、鳥になって町の上を飛びまわる幻覚を見るのです。 それは鳥に憧れ続けた彼にとっての"夢の成就"でもあったのだ。このバーディの視線を追った低空俯瞰撮影が実に見事だ。 ヴェトナム戦争が、バーディに与えた残酷な傷とは、せっかく"鳥"として大空を飛べるようになったのに、ヴェトナムの戦場は、なんとそこでバーディはヘリコプターで空を飛ぶのですが撃墜され、彼の精神錯乱は決定的なものになり、彼を飛べなくなった鳥にしてしまうのです。 そして、コンクリートの病室の中に閉じ込められた金網越しの窓から、空を眺め続けるバーディの姿は、無慈悲にも破壊させられた"夢の残骸"そのものなのかも知れません。