レビュー
Schindler's Memo

Schindler's Memo

6 years ago

4.5


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私が、生きる肌

映画 ・ 2011

平均 3.3

これは凄い。 アルモドヴァルのフィルモグラフィーの中で、最も異彩を放つ作品だと思う。 一見単純な復讐譚の様だが、様々な矛盾を孕んだ複雑な構造であり、問題作であると思う。 主人公は、一言で言えば「マッド・サイエンティスト」であるが、社会的には医師としても、研究者としても極めて優秀な一流である。ここのところが一筋縄ではいかない。この種の人間が最愛の娘の復讐を謀るのであるが、本人は淡々と、極めて冷静にコトを運ぶ。しかし、その方法は極めて矛盾だらけの倒錯した方法を用いる。 この「倒錯」ぶりが物凄い。もはや究極であろう。 主人公は、愛すべき対象である妻、娘、そして件の作品(?)、また本人は知らないが、愛されるべき対象、すなわち母親・・・の全てを失う人生を歩む。 この映画の中で、一番単純なのは、前半で登場する老メイドのバカ息子である。この人間は自己の欲望に常に従順で、性急な愚か者であり、主人公と見事なコントラストを放っている。この二人の表裏関係をみると、この映画のギリシャ悲劇のような構図がみえてくる。 劇中でも言われるが、つまり、呪われた子宮・・ということなのだろう。 凄い映画だが、とても子供には見せられない。特に思春期の少年・少女には道徳的に厳禁だと思う。