レビュー
もうちょっと信じられんレベルでボロ泣きしてしまった一作。あらすじを読んでもらうと分かるのですが、主人公であり映画のタイトルにもなっている少女ソウォンは口に出すのも憚られる陰惨な事件の被害者となります。この足掛かりとなる描写がとてつもなく惨たらしく、韓国映画はやはり容赦ないと思い知らされるのです。 ところが中盤から物語のムードはマスメディアによる加熱報道・被疑者の罪の意識の薄さといった厳しい現実を突きつけつつも、周囲の人々がソウォンに対し思いやりや慈しみを持って接する様子を中心に綴ります。この世界観が前半とのギャップも相まって、心に沁みてたまらないのです。 正直なところ、「リアリティねえなぁ」とか「そんな善人ばっかなわけないだろ」とか「泣かせに走りすぎだろ」とか…批判の言葉は幾つでも思い付く。でも、彼女たちの境遇を目の前にして、そんな言葉を軽々しく使う気になれなかったです。こういう優しい世界があるんだと信じられなくなったら、何だか人としてお終いな気がしました。 どんなに酷い映画を見ても、私も彼らのようにもっと寛容な心を持って接するべきではないだろうか。私の汚れた心をそんな風に洗い流してくれる傑作でした。
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