レビュー
Schindler's Memo

Schindler's Memo

2 years ago

3.5


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猿の惑星 キングダム

映画 ・ 2024

平均 3.3

1968年チャールトン・ヘストン主演の「猿の惑星」は、テーマである「人間の愚かさ」をラストで提示し、愚かさの原因は「戦争」であり、冷戦下における人種間、思想間、兵器開発などの危険因子の恐怖を人々に訴えた傑作であった。 しかし、シリーズの後作4本は、シリーズへの言い訳的な理屈をこねくりまわして、結果的に尻つぼみになってしまった感の強いもので、良くも悪くも映画全盛期が作り上げた怪作群であったと思う。 しかし、コーネリアスとジーラの間に生まれたシーザーというキャラを生んだことが、結果的に2011年の「創世記」から始まったリブートシリーズ3部作につながった遺産であったと思う。 この3部作は緻密な脚本と圧倒的なCGを武器にした、いずれも傑作揃いで、主人公はシーザーに一任され、「創世記」は医療SFであり、「新世紀」と「聖戦記」は、戦争とは何か、文明とは何か、リーダーとは何かみたいな哲学的なところまで踏み込んでいる。 そして本作であるが、「聖戦記」のラストで心配されたシーザーの息子(すなわち新しいリーダーであろう)が文盲であったのを逆手にとって、新シリーズを立ち上げたのだと思われる。 シーザーの死後300年の世界であり、猿たちは喋ることはできるが、教育は基本口伝であるので、システマティックな組織を作り上げ切れておらず、各部族に分離されているという設定。 過去に人間が作った送電塔とか橋、タンカーなどが朽ちてモニュメントみたいになったところを利用して集落を形成している。 これだと種族間(すなわち集落間)で、弱肉強食的な争いが起こるのは当然であろう。 また、シーザーという共通の神を多様に解釈して争っているところなどは、何か現在の人間世界を皮肉っている感じもする。 そこに聡明な人間女性であるノヴァ(結局ノヴァという名前ではなかった)が登場し・・・となるわけだが、正直言ってかなり意外なラストへ連れていかれる。 300年? これからどうやってシリーズの理屈をつけるのか、期待よりもちょっと心配になるのも確か。