
セイクク

生きる
平均 3.8
胃癌で余命幾許もないと知った男性の話です。 これでこそ「映画」でしょう! 満を持してクライテリオン版Blu-rayで鑑賞しました。 「あなたがこの世に生まれた意味は⁈」 ☆☆☆☆☆ 課長のポストを守りつつ、無難な仕事をただこなしている主人公が自身の「あと半年」という寿命を知り、人生を見つめる映画です。 「七人の侍」で堂々とした侍・島田勘兵衛を演じた志村喬が、本作ではうなだれて肩を落とした渡邊勘治を素晴らしい演技で演じます。 特に何度か出てくる笑顔のアップは素晴らしいとしか言えません! さすが山村聡、渥美清、三船敏郎から尊敬されている名俳優の演技でした。 はつらつとした小田切みきの演技も良かったです。 内容はブラックコメディを入れつつのヒューマンドラマで、黒沢映画特有のカメラワークの良さ、構図の素晴らしさもあり現代でもまるで違和感を感じません。 たらい回しにされる役所の描写、病院の待合室、息子への告白などブラックコメディで笑えない笑いを入れつつも、底辺に潜む問題の深さを浮き彫りにしていきます。 そして構図の素晴らしさ、見せ場のタイミングが神がかっています。 ☆☆☆☆☆ 特に印象に残ったのは、バースデーソングのタイミングとラストのブランコのシーン。 ジャングルジム越し斜め後ろからの正面に切り替わる「ゴンドラの唄」は今後私の人生であと何回観るんだろう⁈と感じるほど映画史に残る名シーンでした。 ☆☆☆☆☆ 正直この時代特有のテンポが悪い場面、ラストスパッとゴンドラの唄で終わって欲しかった(ゴンドラの唄が良すぎて後が蛇足に感じてしまう)など個人的にマイナスと感じる部分はありましたが、やはり私の中では特別な作品でした。 ぜひご自身の人生を見つめ直すきっかけとして多くの方に観て頂きたい作品です。