レビュー
スティーブン・スピルバーグの最新作はメリル・ストリープとトム・ハンクスという名優を二人揃えて贈る実録ドラマ。 毎度毎度思わされますが、スピルバーグの演出にはムラもムダも全くなく、最低限の説明で本当に必要なことだけが歯切れよく語られていきます。ゆえにアメリカの歴史上、大きな意味を成した一大事であるにも関わらず、シリアスさはまるで感じられずとにかくテンポが良い。どんな題材も見事なエンターテイメントに変貌させてしまう監督の力量には脱帽せざるを得ません。 『シンドラーのリスト』『ブリッジオブスパイ』などこれまでの作品と同様、今回も強い信念を持って闘い続ける人々の尊さが描かれており、性別を理由に軽んじられてきたキャサリンが勇気を振り絞って前に進む姿、売上至上主義で道理をわきまえない仕事人間に見えつつ誰よりも言論の力を信じるベンの姿に、しおれていた心が自然と活気づけられます。 斎藤工がシネマトゥデイの番宣番組で本作を「バントホームラン」と評していましたが、ホントに言い得て妙だなぁと感心した次第です。こんなレベルの作品をわずか1ヶ月で撮影・量産できるスピルバーグはちょっと別の次元に突入しちゃってますね。
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