レビュー
クリステンは本当にスクリーンに映える。細かい演技ひとつとっても見逃せない、素晴らしい女優だと思えた。 タイトルに敢えてレディーをつけたのも意味があってのこと。 最後の最後に監督が訴えたいことが見えた気がして映画としての構成力に脱帽した。 戦争映画?とあらすじで先入観を持ったが、実際は収容所内での一年間の出来事で、戦地の戦闘シーンは一切ない。 9.11同時多発テロが起きたのが2001年。19年経った今、ちょうどアフガニスタン紛争はこの2月29日にアメリカとタリバンで和平合意がなされたそうだ。 19年。気が遠くなる年月、ずっと戦争をしていて、ずっと気が狂いそうになりながら苛酷な環境に耐え続ける日々というのは、、。日本で平穏に暮らしている以上、想像できるわけがない。 アリのような人が実際に解放されたとして、帰る場所はあるのだろうか。 そんなことを思った。 映画の中で、クリステン演じるコールはこの一年、アリとの交流で罪悪感に苛まれる。 クライマックスでアリの自殺を止めようとしたが、それも全力で阻止ではなく、動物園に例えて自分を飼育員、勾留者を動物に例えた。「ライオンに選ばせる」と言い残して、アリの部屋から離れる。 自殺を思いとどまったアリとのかたい握手は、感動した反面、それでも問題の解決にはけしてなっていない辛さを感じた。 大切なのは、どうにもならない環境下であっても、与えられた何かをやらなくてはいけなくても、どんな時でも。 そこに同じ人間がいる以上、わかり合おうとすることはけして無駄じゃない。 大切なことなんだ、と思えた。
このレビューにはネタバレが含まれています
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