
星ゆたか

新しい人生のはじめかた
平均 3.2
2022.4 一緒に歩こう。色んな話をしよう。そして時に立ち止まり、周りの景色に目を向けよう。風や空気や雨や音にふれ味わい、出逢う人や生き物に心を傾け楽しもう。できる所まで。 CM音楽家のハーベイは、離婚後ニューヨークで一人暮らし。週末イギリスで働く一人娘の結婚式に出席するため、ロンドンへ向かう。月曜に新しい顧客との打ち合わせをするために、スタッフからの連絡を念をおし、慌ただしく出発した。 一方ロンドンの空港統計局で働くケイトは、独身で同僚から結婚相手を紹介されたりするが、過干渉の母親の度々の電話に頭を悩まされてもいる。(新しく越してきた隣人が、殺人鬼じゃないかと思いこんでいるユーモラスな味付け) そんな二人の最初の出会いは、空港の連絡通路で、ケイトがアンケートの声掛けに、ハーベイがそっけなく断った。(しかし彼は覚えていたが、彼女は一日に何人も断られているので、次の日再会し謝られても分からない) ハーベイは、自分だけホテルに落ち着くが、皆は別に用意された宿泊先にいる。娘に会い話をすると、バージンロードを連れ添い歩くのは、元妻の再婚相手の義父に頼んだという。しかも仕事先からの連絡で、新しい顧客は若いスタッフの起用を希望し、自分はお箱払いだという。 そんな落ち込んだ気分の二人が、こじゃれたレストランで、再会する。 ハーベイからの声掛けに、最初はうるさそうなケイト。しかし彼女のズバリ跳ねかえす口上に。 『君らは閉鎖的じゃなかったのか?』 『ダイアナが死んでから変わった。オープンになったのよ。アメリカ人の影響よ。』 『‥でも思っていることをハッキリ言う人といると安心する。』 “硬い上唇” 歯を食い縛る感じ。 昔、貴族が泣きそうになっても、唇が震えない仕組みを伝統にしたのだという。彼女が彼にその仕方を教える内に、いつの間にかお互いの心が柔らかくなる。 これから小説書評の講習の会場に、彼女について行くという。彼はもう少し話がしたいのだ。一緒に少し歩きましょう。テント張りの露店古書市場の中を歩く。『本の好みが違う、それってマズイ?』『ゼンゼン平気!』 この辺は、若い恋人とは少し違う。 寒い中講習が終わるまで外で待った。このことは彼女を感激させる。その後自然にお互いの真情や夢まで話し合うようになり、離れ難くなった。 そして娘の結婚披露宴には、絶対出るべきと勧める彼女に、同伴してくれと頼む。この服じゃ出られないという彼女に、200ポンドまでの服を(しっかり者ねと彼女)お店で用意し、いざ会場へ。 “花嫁の父の挨拶”を、義父からマイクを預かり、話を。『自分達の離婚は、娘を苦しめたが彼女は立派に、自立した強い、けれど心の優しさと可愛いらしさを失わずに美しい女性に成長してくれました。私も義理の息子は初めて、どうか両親のためにも初孫を楽しみに、家族に乾杯を義父に頼みます。』と感動的に済ませることに。 かつては、酒の飲み過ぎで家族に迷惑を掛けたりで、父親失格は本人も自覚済み。しかしこれからの人生をどう生きようか、という時に彼女の存在は、もう失い難い。そう内心決めて、また会う約束を。 元の勤務先からは、やはり若いスタッフの仕事ぶりより、ベテランの君の力が欲しいと連絡が入るが断り、ロンドンで生きることに。 ところが、その約束の時間の前に、持病の不整脈を起こし入院騒ぎで、会いにいけなかった。 これでやっぱり一人のほうが楽、と思った彼女。以前子供を堕胎している経験から、もう傷つきたくないと。 詫びと約束を守れなかった説明にきた彼に。『これから私達やっていけそう?』『頑張ってみる!』 とりあえず一緒に歩いてみよう。 いくつになっても、思いたった所から始められる愛の物語でした。 ちなみにこの作品。2010年の2月に公開され、その年のベスト35位でした。(64人選者で、「息もできない」邦画「悪人」などが1位)135位まである中、二人が1位、一人が2位という、3人で出したランクです。つまり好きな人には、トコトン気に入った映画ということになるのかも知れない。