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ザ・レイド
平均 3.6
2022年01月25日に見ました。
ギャレス・エヴァンスが監督・脚本を務めた、2011年公開のアクション・スリラー。 アクション振付師としても活躍するイギリス人の映画監督ギャレス・エヴァンスの一大出世作となった本作は、麻薬王タマ率いるギャングチームとSWAT部隊による壮絶な闘争が描かれます。”インドネシア発のノンストップ・バトルアクション”で世界各国の映画祭を席巻した革新的傑作だという事で、私もタイトルだけはかねてより存じておりました。ですが、とは言え10年以上も前の作品ですので、この間に作られた数々のアクション映画と比べるとさすがに見劣りしてしまうだろうと高を括って鑑賞に臨みました。がしかし!いやとんでもないですよこれは。何と言っても凄いのは俳優たちの尋常じゃない格闘スキル!本作ではインドネシアの伝統武術”シラット”が大々的にフィーチャーされており、格闘シーンでは痛みや重みが生々しく伝わってきます。そしてこのエクストリームな盛り上がりが最高潮に達するのがクライマックスの2対1アクション!痛々しいハイテンションな格闘が6分近くひたすら繰り広げられるだけなのですが、このシークエンスにはまるで私までトランス状態に陥ったのかと錯覚してしまう程の凄まじさがあります。ここでの「そのあまりの凄さに途中からは笑いが込み上げ、最終的にはエクスタシーの域にまで達する」という衝撃は、『酔拳2』のロー・ワイコン戦や『るろうに剣心 伝説の最期編』の最終決戦にも匹敵するレベルだと思います。 また本作は役者たちの格闘スキルを活かす為の演出にも一切抜かりがありません。まず舞台立てからして「高層ビル内部での上下移動」が劇中における基本動作となっている点では『ダイ・ハード』を、フロアごとに敵のレベルやファイトスタイルが異なるという仕組みは『死亡遊戯』を連想させます。こうしたフィールドの立体化・複雑化が結果的に格闘アクションをよりスリリングなものにしていますし、単調になりがちな格闘アクション映画へのグラデーションとしても機能していると思います。また序盤で緊張感たっぷりに描かれる「多勢に無勢の屋内銃撃戦」は『要塞警察』風でもあり、このようにクラシックなアクション映画の構造や演出を適材適所で踏襲しているのも本作の大きな魅力です。あえて言えば、主人公に関するドラマの分量をもう少し増やして欲しかったです。もちろん見事なアクションシーンだけでも満足なのですが、本作のことを思い返した時に浮かんでくるのはアクションシーンばかりでストーリー自体の印象はかなり薄ぼんやりしています。個人的には『ジョン・ウィック』くらい明快で抜けの良い物語性があればもっと好きな作品になっていたと思います。ただこうした不満を抱くのも全てはアクションが凄過ぎるからであって、そこを差し引いたとしても私はめちゃくちゃ楽しく観ることが出来ました。続編も気になる! 本作を観ると、『スカイライン-奪還-』が途中から唐突に格闘アクション映画へとシフトしたのも分かる。