レビュー
dreamer

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4 years ago

5.0


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海を飛ぶ夢

映画 ・ 2004

平均 3.5

この映画「海を飛ぶ夢」は、人が生きるということはどういうことなのかという、"人間の尊厳"を真摯に見つめた、魂を震わせられる珠玉の名作だ。 実在の人物による手記「LETTERS FROM HELL」を原作に、スペインのアレハンドロ・アメナーバル監督は、主人公が"死の選択"という「自由」を求めて生きる姿を淡々と、そして静かに描いていきます。 船員として世界中の海を回っていたラモン・サンペドロ(ハビエル・バルデム)は、25歳の時の事故で首から下が不随となり、ベッドで寝たきりの生活を送ることになる。 義妹が献身的に介護し、甥と年老いた父は、口で字を書くことが出来るように手製の機械を作ったりと、家族の愛情に包まれた静かな暮らしを送ることに----。 しかし、事故から26年がたち、「なぜ生きているのか?」という疑問に抗しがたくなったラモンは、合法ではない"尊厳死"という道を選ぼうとする----。 30代のハビエル・バルデムが、時に愛らしく時に辛辣な50代のラモンを表情一つで魅力的に演じて、とても素晴らしい。 そして、ラモンを助けようとやって来た支援団体のジェネ(クララ・セグラ)や弁護士フリア(ベレン・ルエダ)、それに村のシングルマザーのロサ(ロラ・ドゥエニャス)らが、彼の人間性に惹かれていく過程に説得力を持たせていると思う。 裁判で"尊厳死"の正統性を訴えるが却下されるラモン。同じ障害のある神父が、「家族に愛情がないから死を求めるのだ」とテレビでコメントする、その"善意"の刃に、観ている私まで打ちのめされてしまう。 そして、ラモンの意識が、部屋の窓から海へ飛んで行く鳥の目線で画面いっぱいに広がる時、自由を求めるその思いの強さと深さを知らされるのだ。 なお、この映画は世界中で絶賛され、2004年度のアカデミー賞で最優秀外国語映画賞、ゴールデン・グローブ賞で最優秀外国語映画賞、ヴェネチア国際映画祭で最優秀主演男優賞(ハビエル・バルデム)と審査員特別賞、ヨーロッパ映画賞で最優秀監督賞(アレハンドロ・アメナーバル)と最優秀主演男優賞の栄誉に輝いています。