レビュー
長年にわたりMを演じてきたジュディ・デンチが本作を最後に勇退。そんな彼女へ最大限の敬意を表すとともに、シリーズ50周年を祝う記念碑的作品。 アクション映画のシリーズ物であるにもかかわらず、賞レースを賑わせたことからも、本作の気合の入りようが見てとれる。 シリーズ常連キャラクターの登場、ダークナイトリスペクト、ハビエル・バルデムの大げさすぎる演技、ボンドウーマンがM、ホームアローンなクライマックスの戦闘、感動のラスト等々、名シーンは数知れず。 さらに、作品を通しての映像、演出、音響なども完璧で、どこを取っても隙がない仕上がり。特に、とてもこの世で撮影したとは思えないようなパノラマの映像美には圧巻の一言。 これ程までに格式の高い、肩に力が入った映画は滅多にお目にかかれないだろう。観る方にも万全の体力が必要な作品だ。 本作でのボンドは、ヴェスパーの呪縛から解放された後、数々の経験を経て、ベテラン諜報員として活躍している。大人の余裕を漂わせ、皮肉っぽさが増して、時折ノスタルジーに浸る姿が、前作から大きく変化した点だ。 ダニエル・クレイグの007は、シリーズを通してボンドの人生が描かれていくのが大きな魅力。なので仕方ないことなんだけど、前作の半ば狂ってるようなトゲトゲしいボンドが好きな自分としては、なんだか普通のボンドになっちゃったなって印象で、ちょっぴり残念。(あと、吹替版の声優が変わったせいで、口調もまるで別人かのような違いになっていた。シリーズ物でそういうのやめてくれ) 余談だが、50周年記念に合わせ、ボンドの生家の管理人であるキンケイド役に、ショーン・コネリーをキャスティングしようというプランがあったらしい。さすがに冒険がすぎると、没になったそうだが、コネリー世代じゃない自分的には、作品にエッジが出る良い案だったなのになぁ、とか思ったりしている。
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