レビュー
2019年118本目はスコットランド発のマイナー映画でありながらサンダンス国際映画祭で注目を浴びた『アナと世界の終わり』。 ゾンビ映画の基本的なルールを踏襲しつつも、そこに少年少女の「モラトリアムからの脱却」という青春ものお決まりの要素を加え、それをミュージカルで歌い上げて見せるというかなりゴッタ煮感の強い1本です。 しかしながら主役のアナを演じるエラ・ハントのビジュアルや出演者たちの優れた歌唱力、そして何よりもサントラが欲しくなるキャッチーな楽曲の数々など、ミュージカル映画として大事なポイントはほぼ完璧に押さえきっていると思います。少ない予算でこの出来映えは素晴らしいですし、大きな魅力のひとつでしょう。 一方で登場人物たちの自我との葛藤というテーマはあまり上手く昇華できているとは言えず、特に後半になるにつれてゾンビホラーお約束の死亡シーンが続くと、いよいよ物語は失速を始めます。 中でも「誰が生存者となるのか」については予想外の結末を狙いすぎたが為に目指すべき着地点との乖離が著しく、非常にスッキリしない展開となってしまうのが残念です。
いいね 8コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.